『星恋』、ふたたび(2) ― 2011年01月03日 20時45分15秒
改めて本の帯を見たら、興味深い文章なので、やっぱりこちらも書き写しておきます。
<星戀のまたひととせのはじめの夜>―凍える静寂(しじま)の中に煌く星座。星の光りは無窮の彼方から地上の孤独な魂たちに語りかける無償の私信であろう。該博な学殖と透徹した詩人の直観力をもつ著者たちが、変らぬ星への恋慕の念にも似た若々しい情熱で捉えたロマン溢れる星のコスモロジー。野尻抱影生誕百年、ハレー彗星・火星大接近、「天狼」四十周年を記念して、深夜叢書が星を愛するすべてのひとと、俳句を愛するすべてのひとの“掌の宇宙”に贈る綺羅星の名著。
なるほど、抱影生誕100年とハレー彗星接近のほかにも、火星大接近と「天狼」(てんろう;山口誓子が主宰していた句誌)の40周年も、かけていたのですね。
それにしても、「地上の孤独な魂たちに語りかける無償の私信」とか、「掌の宇宙に贈る綺羅星の名著」とか、いちいち煽りが効いてますね。書いたのは編集担当の方でしょうか。
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さて、本書の内容ですが、基本的に中央公論版をそのまま復刻したもので、特に文章の変更はありません。ただ、口絵として、誓子の自筆句と著者2人の写真が掲げられている点と、巻末に「『星戀』以後」と題した誓子の新作16句が追補されている点が異なります。(…と思ってよく見たら、「海を出し寒オリオンの滴れり」の一句は既出なので、本当の新作は15句のようです。)
↑野尻抱影と山口誓子のツーショット。左が誓子、右が抱影。
彼らは『星恋』以前から、互に深く認め合っており、だからこそこの『星恋』も日の目を見たわけですが、二人が実際に顔を合わせたのは、この写真を撮ったとき、すなわち昭和40年が初めてでした。考えてみればすごいことですね。
星に恋した者同士は、それだけで既に十分心が通い合っており、対面する必要を感じなかったということかもしれませんが、互いの肉声を初めて聞いたときには、すこぶる感慨深いものがあったことでしょう。
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せっかくですから、内容見本として、抱影と誓子の「星恋」の文と句を載せておきます。
写真では分かりにくいかもしれませんが、活字が藍色のインクで刷られているのも、星をテーマにした本として気が利いています。
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