化石趣味をさらにさかのぼる2011年02月21日 22時18分25秒

昨日までは、昭和32年に出た『化石学習図鑑』の中身を見てきましたが、もうちょっと時代を遡って、戦前の状況を見てみます。

下は、昭和15年に「子供の科学」の版元、誠文堂新光社から出た、早坂一郎(著)『化石の世界』です。(上は外函、下は中身)



ブックデザインがいいですね。
この意匠は、「僕らの科学文庫」というシリーズの統一デザインで、手がけたのは大正~昭和を通じて活躍した童画家、初山滋(はつやましげる 1897-1973)です。

「僕らの科学文庫」は、昭和15年当時、まだスタートしたばかりの企画で、巻末広告によると、『化石の世界』は、いちばん最初に配本された4冊のうちの1冊だったようです。(他の3冊は、『宇宙旅行』、『火と焔』、『原子の話』。以下、続刊として『僕らの海』、『自動車の話』、『音の世界』、『植物の話』…等々が予定されていました。)

 (↑奥付。当時の定価2円也)

戦前の少年、特に「子供の科学」の読者層にとって、化石は大きな関心事だったことが伺えますが、その興味関心が、戦後の化石少年のように、自ら採集し、研究するところまで進んでいたのかどうかが、ここでは問題になります。

(この項つづく)