先生の目はごまかせない…あるアーミラリーの秘密 ― 2011年05月13日 20時41分44秒
(↑下記サイトより)
天文学史のメーリングリストで目にした情報です。
投稿者はジョージア州の某カレッジで、コペルニクス革命を講じているT氏。
以下、内容をかいつまんで適当訳。
「授業で使うために、ごく安価な(1万ユーロに比べれば!)アーミラリー・スフィアを買いました。あまり高品質とは言いかねますが、学生たちに見せる分には、これで十分です。」
張り切って教材の仕込みに励んだT氏ですが、そこに思わぬ陥穽が。
「現物が届くまで気付きませんでしたが、でも、よーく写真をご覧いただければ、お分かりでしょう。実は黄道帯の位置が間違っているのです。春分点があるべき位置に巨蟹(きょかい)宮が、冬至に白羊宮が、秋分点に磨羯(まかつ)宮が、夏至に天秤宮が…要するに取り付け位置を90度修正しないといけないのです!」
T氏は教育者らしい律儀さで、メーカーにこの点を指摘しましたが、「貴重なご意見をありがとうございます」という、おざなりな回答が返ってきただけで、ウェブサイトの写真は一向に修正される気配がありません。メーカーからすれば、「まあ、所詮は“ムード商品”だしねえ…」としか思ってないのでしょう。考えて見れば怪しからん話です。T氏の憤懣思いやるべし。
T氏の憤懣に報いるために、氏が挙げたリンク先も掲げておきます。
■Stanley London http://www.stanleylondon.com/armillaryglobe.htm
Londonといっても、このメーカーはロンドンにあるわけではなく、カリフォルニアに事務所を構えているのですが、もっと言えばインドが生産拠点の会社だと思います。
この怪しからん品、実はこのブログでも登場済みです。
(http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/06/26/421243)
そして手元のアーミラリーを見たら、まさにT氏の指摘通りでした。なるほど!
(↑天の赤道と黄道の交わるところが春分点)
それに気づかずにいたのも迂闊な話です。きっとこんな買い手ばかりだから、メーカーもその上に胡坐をかいているのでしょう。
「しかし」と、T氏はユーモアの心を失わずに続けます。
「しかし、私はこの品のうまい活用法を見つけました。もしこのアーミラリーの間違いを見つけて、どう修正すればいいのかを説明できた学生には、ボーナス点を与えることにしたのです。」
教育者たるもの、常にこういう余裕が欲しいですね。
(でも、どっちにしろ私は落第生ですが…)
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