驚いたこと2011年05月14日 15時46分42秒

震災以来の驚きのニュース。
驚きのあまり、記事の流れが完全に断ち切られました。
以下、今日の朝日の朝刊から。

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「君が代「起立」条例案/大阪維新の会 教員に義務化/府議会提出へ」

 大阪府の橋下徹知事が率いる地域政党「大阪維新の会」の府議団は、府立学校の入学式や卒業式などで君が代を斉唱する際、教員に起立を義務づける条例案を5月府議会に提出する方針を固めた。維新の会は府議会で過半数を占めており、可決される公算が大きい。

  〔…中略…〕 維新の会の松井一郎幹事長は条例について「起立しての斉唱は公務員として当然のこと」と説明。橋下氏も府幹部にメールで「(起立しない教員は)公務員の身分保障に甘え過ぎ」と主張していた。 〔後略〕」

 
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この人たちは一体何がしたいんですかね?
他にすることはないのでしょうか?しかも、この時期に。

君が代問題は君が代問題で、大いに議論すればいいと思いますが、この人たちがこれを目下の重要案件と考えているのであれば、ちょっと●●●ているとしか思えない。

それに、橋下氏の発言はどういう意味なんでしょう?
「首切りをちらつかせたら、あいつらもそうそう生意気なことは言わんやろ。ちっとビビらせたろか」…という意味では決してないと思いますが、もし万一そんな意味だとしたら、知事よりも●●●方面に転身された方が良くはないでしょうか。まあ、そんな意味ではないと思いますが。

素焼きの星座、あるいは冬の記憶2011年05月14日 15時56分39秒

驚いてばかりではいけないので、通常の記事も書きます。


素朴な素焼きのバッジ。3センチ弱のかわいらしい品です。
2羽の鳥の足元には、SCHWAN と ADLER の文字が浮き出ています。
もちろん、はくちょう座とわし座をかたどった品です。
星の部分は黄色く塗られており、他にも白鳥は白、鷲は緑の絵の具が残っているので、元は全体が彩色されていたようです。

他にもいろいろな星座があって、私の手元には今10個ばかり集まっています。

これらのバッジは、1930~40年代のドイツで、ある目的のために作られました。
バッジのテーマは星座ばかりではありません。動物あり、建物あり、乗り物あり、歴史上の人物あり。素材も、陶器以外に磁器、ガラス、金属など、実に多種多様なバッジが作られていました。

あるいは、フランスのフェーヴを連想される方もいると思いますが、実際、これらのバッジの一部はフランスに送られ、フェーヴに流用されたとも言われます。

しかし、このバッジのそもそもの目的は、フェーヴとはまったく異なります。
かつて「冬季救貧運動」というのがありました。原語は Winterhilfswerk(ヴィンターヒルフスヴェルク)、略してWHW(ヴェーハーヴェー)。
ナチス時代のドイツで盛んに行われた募金運動のひとつで、これらのバッジは、その募金者に与えられた景品なのです。

(ペルセウスとペガスス)

WHWは、趣旨としては日本の歳末助け合い運動のようなものですが、内実はナチの国策そのものであり、ヒトラーに忠誠を誓った青少年組織・ヒトラーユーゲントやドイツ女子同盟が、その運動の先頭に立って働いていました。

(おおぐま)

バッジを身につけることは、即ち「良き国民」であることを示すサインであり、しかもバッジのデザインはしょっちゅう変わったので、支部同士が募金額を競い合うムードも手伝って、人々は頻繁に募金せざるをえなかったといいます。何とも息苦しい話です。

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この小さなバッジを前に、人はいろいろな思いをこらすことができます。
天上の星は澄んだ光を放ち、星座の神話は甘美で、バッジの姿形は愛らしい。
しかし、その歴史的文脈はいかにも苦く、否応なく省察を迫ります。