足穂氏、銅の甲冑を身にまとう…『機械学宣言』(2)2011年07月31日 19時01分49秒

今日で7月も終り。時の流れの早さを感じます。
そして、昨日の記事を読み直してつくづく思いました。
4年前と今、世の中はまったく変わってしまったなあ…と。

   ★

昨日のつづき。


この特装版は、明らかに一種のオブジェ本ですから、最初から読まれることを想定していないと思います(たぶん)。私もまだ一度も読んでいません。おそるおそる表紙を開いて、中を一瞥した程度です。


このヒンヤリとした銅の表紙に包まれた本は、さぞや中身も硬質で、鋭角的で、透明なものにちがいない…と想像されるのですが、今回写真を撮ろうと思ってチラッと開いたら、次のような文字が読み取れました。

「まあ、まあ、ええやないか。中村君、君はええ男やな。ほれ、どこかイギリスの飛行士に似てるな、姐ちゃん泣かせてるのとちゃうか。(笑)そう堅いことばかり言うなよ、わざわざ東京からやって来やはったんやからな。さ、どんどん聞いてくださいよ。はい、なんですか、松岡君。君は浪人に似とるな。(笑)」


何じゃ、このオッサンは…と正直思わなくもないです。


足穂氏は、中村宏氏がフロイトとマルクスがどうで、肛門と少年がどうと議論しかけたのを遮ってこう言ったのですが、シャイなのか、仙気が横溢しているのか、それともただの酔っ払いなのか、よく分からないところが、凄いような凄くないような気がします。