少年採集家(2) ― 2012年03月06日 21時20分01秒
(昨日のつづき)
裏表紙や扉はこんな感じで、実に愛らしい本です。
裏表紙や扉はこんな感じで、実に愛らしい本です。
この本の装丁は、私らの世代もぎりぎりでお世話になった、童画家・初山滋(はつやましげる 1897-1973)画伯が手掛けたもの。そう言われると、この絵の雰囲気には、なんとなく近しいものがあるような…。
しかし、表紙をめくった瞬間、目に飛び込んでくるのは、次のような見返しです。
やや!これは!!
捕虫網に捕えられた米軍機と、虫ピンに刺された英軍機!!
著者・松室氏の文章中に、「連合国を殲滅せよ」と怒号するような激しい字句があるわけではありません(むしろ全篇それとは正反対の優しい調子で書かれています)。
それでは、これはいったいどうしたわけか? 初山画伯の趣味なのか? それとも、戦時下にかような本を出すことに気がとがめた出版社の過剰な配慮か?
まあ、いずれにしても虫を追うのも命がけという感じです。
★
話題がどんどん逸れていきますが、先ずは、この本が出た昭和18年(1943)当時の世相と昆虫採集事情について簡単に触れておきます。
(よく分からぬまま、この項つづく)
コメント
_ S.U ― 2012年03月07日 07時36分48秒
_ 玉青 ― 2012年03月07日 21時36分45秒
たしかに、いろいろ可能性がありそうですね。
まあ、いずれの場合でも、それがああいう形をとったこと自体、かなり衝撃的です。一言の説明もなく、さりげなく描かれているので、私も一瞬「?」と思いましたが、その意味が分かった瞬間の驚きといったら…!
当時の昆虫採集のムードが良く分かる文章を見つけたので、後続記事で紹介の予定です。本書の内容はさらにその後で。
まあ、いずれの場合でも、それがああいう形をとったこと自体、かなり衝撃的です。一言の説明もなく、さりげなく描かれているので、私も一瞬「?」と思いましたが、その意味が分かった瞬間の驚きといったら…!
当時の昆虫採集のムードが良く分かる文章を見つけたので、後続記事で紹介の予定です。本書の内容はさらにその後で。
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別の可能性としては、まだ昭和18年出版の時点では、こういうデザインは軽いノリのモダンなシャレだったのもかもしれません。それとも、逆に時局が切羽詰まっていたので、せめて子どもにはそれを明るい雰囲気に転化したかったのかもしれません。
子どもの趣味としての昆虫採集について、私は比較的地味な性格の少年が一人で黙々と取り組む姿が目に浮かびます。集団的な戦闘行為にはあまり結びつきません(別に集団でやる「虫採り遊び」というのもありましたがこれは趣味ではないと思います)。当時はどうだったのでしょうか。私にはこの見返しデザインは、おとなしい性格の子どもを楽しませ元気づけるための配慮であるような気がします。
肝心の虫の採集の内容のご紹介を楽しみにしております。