炸裂する日本趣味2012年03月16日 21時07分33秒

今日はソメイヨシノの花芽がぷっくりと膨れているのに気付きました。
風は冷たいですが、春の足音はいよいよ確かなようです。

   ★

ところで、前回の奇怪なクロモカード。
あれから否応なしに思い出すのは、下の絵です(↓画像再掲)。


元記事は、今を去ること3年余り前のもの。

元記事を読むと、当時の私が、いかにこの絵を印象深く思ったかが分かります。

さて、この奇妙な絵がその後どうなったかというと


実は我が家にあるのです。

…というのは、つげ義春作品のしょうもない引用にすぎませんが(上図は同氏の『李さん一家』より)、私がその後異常な執念を燃やして、この絵の「正体」を明らかにしたことは、まだブログに書いてなかったと思うので、そのことを書きたいと思います。

コメント

_ たつき ― 2012年03月16日 23時25分45秒

玉青様
黄道光については分かりました。(勉強になるブログです)
さて、ここで質問です。どうして地上の爆発の光ではなく(海上の事故・隕石)、黄道光と分かるのでしょう。
また、惑星間塵という単語は わくせいかんじん と読めばいいのでしょうか。宮沢賢治の春と修羅序章にも宇宙塵とありまして、気になってはいたのですが。
もしも、答えていただければ幸いです。

_ S.U ― 2012年03月17日 08時08分06秒


おぉ、私の敬愛するキーナーさんの絵?を購入されたのですか。つげ義春もびっくりですね。

 その正体は楽しみと言うことにしておきまして、ひとつ前の富士山の絵ですが、私はこれで永谷園のお茶づけ海苔の付録の名画選カードを思い出しました。もちろんリービッヒのほうが古いのですが、永谷園はこういうのに感銘を受けてあの有名なシリーズを始めたのでしょうか。
 絵の題字を読んでみると「婦人会夏遠足」となっていますね。伊豆や相模の夏にこのかっこうでは暑くてたまらんでしょう。

_ 玉青 ― 2012年03月17日 18時14分12秒

○たつきさま

この絵が黄道光を描いたものであると、なぜ判断したかと言えば、黄道光の絵には一定の「型」があって、手前の風景は様々ですが、黄道光の表現自体はかなりワンパターンだからです。天文古書にはその類例がしばしば載っているので、これも多分そうだろうと考えたわけです。

なお、宇宙塵というのは、主に恒星間の空虚な空間にぽつぽつ浮かぶ微粒子(星間塵)を指すようですが、惑星間塵(わくせいかんじん)もひっくるめて宇宙塵という場合もあるようです。

○S.Uさま

いかにも「名妓連」といった趣ですが、それを「ダーメンゲゼルシャフト」と呼ぶと、とたんに強面の感じになりますね(笑)。夏場に袷(あわせ)ではさぞ暑いことでしょう。日ざかりの中、無造作に弁当を放り出して、食中毒も心配です。。。

それにしても、この絵の「変さ」の根本原因は、彼女たちのプロポーションじゃないでしょうか。日本のスタンダードを無視した8頭身、しかも胸高帯ですから、帯から下の量感が雄大で、美しさよりも不気味な迫力が先に立ちます。

なお、永谷園のカードは、もののサイトによると、昭和45年にスタートしたそうです。あれは間違いなくリービッヒをはじめとする「おまけカード」商法の模倣でしょうが、同時期、海の向こうではブルックボンドの「紅茶カード」がヒットしていたので、それに刺激を受けたのかもしれません。(永谷園は本来煎茶メーカーだそうですから、紅茶に対抗したのかも?)

_ S.U ― 2012年03月18日 08時28分51秒

 前回のリービッヒカード登場の時は、私は「当たり前田のクラッカー」付属の粉末スープについてコメントしていました。今回お茶づけ海苔の付録ではまったく進歩ありません。困ったものです。
 この絵が異様に見えるのは、日本女性が西洋人種風のプロポーションだからですね。何でこんなに描いたのでしょう?

 ところで、「宇宙塵」ですが、私らが子どもの頃には「流星塵」のことを「宇宙塵」と呼んでいませんでしたでしょうか。うろ覚えなのですが、天文図鑑か何かの本に 「『宇宙じん』を採取しよう」 などと書いてあってスライドガラスを使う方法が書いてあったように思います。「宇宙じんの採取」では矢追純一さんが好きだったロズウェル事件ですわ(笑)。

_ 玉青 ― 2012年03月18日 10時15分27秒

>宇宙塵

あ、なんかありましたね。
アマチュアによる流星塵観測は、森久保茂氏が主唱者だったと思いますが、森久保氏は論文等では一貫して「流星塵」という言い方をされていて、理化学研究所におられたもう一方の旗頭・島誠氏はずっと「宇宙塵」という表現をされていたので、末端の方では両者が混用されていたんじゃないでしょうか。

まあ、何にせよ、スライドガラスに宇宙人がひっついていたらビックリですが(笑)

_ たつき ― 2012年04月05日 22時46分45秒

玉青様
しつこいですが、お聞きします。描かれる黄道光の描かれるパターンとは、いったいどのようなものなのでしょうか。また、その特徴(他の落下物と違う)はどのような理由によって現れるのでしょうか。よろしくお願いします。
なお、学生の頃に自分の好きな詩をクラスの前で発表するという授業があり、私は「春と修羅・序章」を選んだのですが、例の「宇宙塵」がどうしても「宇宙人」のアクセントになってしまうため、「宇宙ちり」と無理に読んだ覚えがあります。おかげで賢治が宇宙人を食べるイメージが、いまでも頭にこびりついています(笑)。

_ 玉青 ― 2012年04月06日 06時02分05秒

あくまでも経験論ですが、天文学の本の挿絵として、次のような特徴をもったものがあれば、それは黄道光を描いたものと考えて良いと思います(少なくとも私は、黄道光以外のものが、そうした形状で描かれている例を知りません)。

・地平線から斜めに立ち上がっている。
・空の中でかなりの面積を占めている。
・舌状である。
・輪郭がぼんやりしている(問題のキーナーの絵は、あまりぼんやりしていませんが、それでも中心から周辺にかけて、減光している様子を表現しようとしています)。

なお、これはあくまでも「黄道光の絵」の特徴です。本物の黄道光はまた違った見え方をすると思うのですが、私は自分の目で見たことがないので、はっきりとは分かりません。

また、こうした形状の光が、黄道光以外の原因で出現する可能性もあるとは思いますが、それが「天文学の本の挿絵」であり、「何らかの天文現象を表現したもの」である限りにおいて、それはやはり黄道光の絵である可能性が最も高いと考えます。

>「宇宙塵」がどうしても「宇宙人」のアクセントになってしまう

うーん…私も同じになってしまいますねえ。

_ S.U ― 2012年04月06日 07時26分10秒

すみません。横レスお許しをお願いします。私は、明瞭な黄道光を一度だけ見たことがあります。(京都府北部の山の中腹の東側斜面で8月の明け方に見ました。) 「絵に描かれた黄道光」からは論点がずれますが、ご参考になれば幸いです。
 
 実際の観測で黄道光ともっとも紛らわしいものは薄明です。黄道光の一般的な見え方については(本の挿絵の場合も実際の場合も)玉青さんの書かれている通りだと思いますが、実際の黄道光は、高度が高くなるにつれて光が急速に弱くなるので、絵ほど「縦長」には見えませんでした。初めて実物をただ見ただけでは薄明と完全に区別することはできないと思います。実際には、黄道光が見えて相当経ってから薄明が地平から始まるのが観察できるので、時間差で2度の事象が起こることによって、黄道光と薄明は区別が付きます。

 あとは、(話を複雑にしてすみませんが)低緯度オーロラも実際には紛らわしいのではないかと思います。私はオーロラは見たことがないのですが、やはり京都府北部の別の山でオーロラを撮影した方がいて、その写真(URL)によると似た特徴があるようです。でも、オーロラが挿絵でわざわざ舌状に書かれることはない、という点で、玉青さんのご指摘通りだと思います。

_ 玉青 ― 2012年04月06日 20時05分20秒

臨場感あふれる観望記をありがとうございます。
なるほど、薄明の先ぶれのイメージですね。
なんとなく想像がつきます。

黄道光どころか、天の川すら見えない生活が何十年も続いている身の不幸を嘆かずにはいられません。子どもたちにとっても実に不幸なことです。

_ たつき ― 2012年04月06日 22時22分41秒

玉青様
玉青様、S.U様、いろいろと教えていただきありがとうございました。
私は夜空は大好きですが、天文学はまったくの素人です。今後もとんでもない質問をし、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

_ S.U ― 2012年04月07日 08時18分09秒

玉青様、たつき様、
恐れ入ります。昨日、書きたかったことを忘れていたので、追加させて下さい。

 野尻抱影の著書に、黄道光は、昔のアラブだったかで、「偽りのしののめ」、つまり、偽物の薄明、と呼ばれていた、とありました。(出典は忘れましたが、英語版のWikipediaの "Zodiacal light"に"false dawn"とあるのが同じソースだと思います。)

 想像するに、昔は早朝にお祈りをしたり旅に出ようとした人が大勢だまされたのでしょう。本物の薄明よりも大仕掛けな偽物ですね。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック