天球儀騒動余話…国際小包と保険のはなし2012年05月15日 20時06分15秒

今日、改めて検品したら(というのは、モノは日曜日に郵便局にいったん引き取られ、今日2日ぶりに対面したので)、例の品は架台のみならず、天球儀本体にも大きな傷ができていました。
何とか補修して再生を…と思っていましたが、こうなると、もう処置なしです。
嗚呼、100年を生きながらえた汝の命運も、ここに尽きたるか。

   ★

さて、その後の補償交渉の話。

この場合、日本郵便にクレームを申し立てるか、オランダ側に(売主から)申し立てるか、方法は2つあるのだそうです(この辺は相手国によっても違うらしい)。
そこで、言葉の障害のない日本郵便との交渉をまず先行させました。

天球儀には、全額保険をかけてありました。保険付き国際小包というやつです。
で、郵便局が作成してくれた「損害検査調書」には「内容品の損害の程度及び損害金額」の欄に「全損」と書いてあります。全損だから全額弁償してくれるのか…と思って安心していたら、さにあらず。

最終的な補償額は、今後正式に調査をしてから決めるのだそうですが、郵便局の担当氏が内々で教えてくれた目安は、なんと購入価格の3分の1弱。えええ!!これでは何のために保険をかけたのか分からない。

   ★

まあ、ここに悪意のコンビがいたとして、二束三文のガラクタを「100万円の品だ」と偽って、「輸送中に破損したから全額補償しろ」と因縁をつけるような詐欺事件もありうるので、いつでも申告額の通り、全部弁償されるとは限らない…という理屈は分かります。

しかし、考えてみるといろいろな疑問が浮かびます。
たとえば10万円(私の買ったものが10万円というわけではありません)払って買ったものが壊れて届いた、しかし下りる保険金は3万円だとなると、結局差額の7万円はどこに消えたことになるのか?

なんでも、担当氏の説明によると、破損して届いたモノは、保険金が支払われた後は、郵便局が引き取る(買主のところには返還されない)のだそうです。これもよく分からない話で、「破損してもなお、そのモノには7万円の価値が依然あると当社では算定しました。だから差額の3万円をお支払します」というなら分かります。しかし、結局モノは先方に差し押さえられて、3万円の涙金をもらって終わりというのは一体どういう理屈なのか?

その上さらに、補償金額がいったん3万円と決定したら、請求者(=私)が不服申し立てをする制度はないそうです。要するに、不服ならやめておけ、金が欲しければ3万円で我慢しておけという、完全に泣き寝入りの仕組み。

変だなあ…と思って、その場で担当氏に聞いてみました。
「そうすると、私の手元にはモノも何にもなしで、7万円の負債が残るだけですよね。10万円の品物がもし不着の場合は、10万円全額補償されるのに、何かおかしくないですか?私からすると、結果的に何も届かなかったのと同じだと思うんですが、いったいどこが違うんですか?」

担当氏曰く、
「不着の場合は、郵便の責任を果たしていないので、補償に応じる義務があるのです。しかし、途中で破損した場合は、ちゃんと相手のところまで届けたという仕事をしたので、そこに違いがあるのです。」という話。何だか分かったような、分からないような話で、もちろん納得はできません。

保険を掛けてなかったら、こういうのは、よくある「自己責任論」で済まされかねない状況ですが(しかし、それで郵便の責任がチャラになるわけでもないでしょう)、保険をかけていながらしかも大損というのは、どうにも納得できない。何かだまされているような気がする。

   ★

日本郵便には「お客様サービスセンター」というのがあるので、上記のことを聞いてみたのですが「仮定の話にはお答えできません」の一点張り。つまり、まだ補償交渉の結果が出たわけではないのだから…という理屈です。

「別にクレームをねじ込もうというつもりはないのです。一般的な制度のこととしてお聞きしたいのです。そちらで分からなければ、どこに聞けばいいのですか?どこが担当部署なのですか?」と(言葉とは裏腹に、かなりクレームっぽいですが)聞いても、「まずは担当の支局にご相談ください」ということで埒が明かず。

   ★

やむなく日本郵便との交渉はここでいったん中断して、オランダ側にバトンタッチです。
「全額補償だから任せておけ!」という売り手の力強い言葉に期待をかけつつも、名にし負うオランダ商人(保険屋)からどれほどの成果を挙げられるか、ハラハラしながら待ちたいと思います。

   ★

今日は沖縄返還40周年という、非常に重要な日にも関わらず、我欲にとらわれた浅ましい話題になったことを残念に思います。もちろん、そういう大きな問題を等閑視しているわけではありません。諸事情ご賢察いただければ幸いです。