豊郷小学校に見る、昭和の理科教育空間(2)2012年05月22日 07時18分56秒

思わぬアクシデントで連載が中断しましたが、「『けいおん!』の理科室と称して、滋賀県湖東地区に立つ豊郷小学校の理科室をながめようという企画が進行中でした。さらに、狭義の理科室に限らず、屋外施設も含めた、広義の「理科教育空間」を、昭和懐古モード全開で、存分に愛でてみようと思います。そういうわけで、前回とタイトルが変わっていますが、続き物なので今回を(2)とします。

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豊郷小学校の旧校舎は、昭和12年(1937)5月に落成し、理科室はその2階部分にあります。大きさは、タテ11m×ヨコ9m、面積は99平米。隣接する理科準備室は、同じく8m×8m、64平米で、これらはいずれも小学校の理科施設としては最大級のものです。

…と、知ったかぶりできるのは、以下の本が手元にあるからです。

近畿教育研究所連盟(編)
  『理科教育における施設・設備・自作教具・校外指導の手引』
 六月社、昭和39(1964)

(↑同書外箱。写っているのは大阪市立宝栄小学校の花時計。「川西」は元の持ち主?)

この本には、昭和30年代に追求された「理想の理科教育の姿」が詰まっています。中でも豊郷小学校への言及の多さは目立ちます。データ的なことを続けると、同小学校の理科室には、69平米の「科学室」と称する部屋と、4.7平米の「暗室」までもが付属し、昭和36年(1961)には、その理科教育の充実ぶりが認められて、ソニーから100万円が贈られた…と、上の本には書かれています。

そう、ここはアニメの舞台というだけではなく、それ自体が注目に値する空間であり、多くの昭和理科少年にとって、「ああ、そういえば…!」と昔の記憶を蘇らせてくれる光景に満ち溢れた場所なのです。(といっても、その光景も今や過去のものですが…)

(この項つづく)

【余談】

○ふと気付いたこと(その1)
 今回の金環食のリングが太かったのは、半月前に「スーパームーン」が
 見られたことと、対の現象であること。

○ふと気付いたこと(その2)
 6月に見られる金星の太陽面通過。あれも、ささやかな「金環食」であること。