渋川春海の望遠鏡2012年09月17日 10時18分17秒

今日、ネットを徘徊していて、映画「天地明察」の公式フェイスブックページ(http://www.facebook.com/tenchimeisatsu.movie)で、下の画像を目にしました(すみません、勝手借用です)。


ページの説明には、<映画『天地明察』の世界>算哲〔引用者注:渋川春海の別名〕使用の望遠鏡です。宮崎あおいさん演じるえんが覗く姿も印象的ですねとあります。

うーむ、これは。
接眼部近くに膨らんで見える合焦装置から、一目でインド製の安価なレプリカと分かる望遠鏡(こうした合焦機構は、17世紀はもちろん、18世紀にも19世紀にもないはず)。

そもそも、春海当時に真鍮製鏡筒の望遠鏡があったかどうか、それが木製三脚に乗っていたかどうか、大層お金をかけた映画のはずなのに、肝心の天文機器に関する心配りが足りないのは惜しい。誰か助言する人はいなかったんでしょうか。

…と、何となく上から目線で書きましたが、私だって別に当時のことに詳しいわけではありません。でも、その筋の人に聞けば、すぐ分かることが出来ていないのは、やっぱりよろしくないと思います。

舞台となった貞享の頃は、通常の「まげ物」で見慣れた江戸時代後期の世界とは、服装も髪型も、習俗一般から人々の気風に至るまで相当違ったらしいので、時代考証的に誰もが満足する映画化は難しいと思います。が、何といっても天文がテーマなのですから、個人的にはその方面の正確な描写を望みたいです。
(望遠鏡以外の儀器についての考証はどうでしょうか、そちらも気になります。)

   ★

今日はちょっとイチャモン的な記事になりました。
でも本当は、そういう「重箱の隅」よりも、改暦事業の経緯と意味合いが、事実、冲方氏の原作に描かれた通りであったかどうか、そういう観点から史実を見直すほうが、個人的には得るところが多いと思うので、これは自分への宿題とします。

コメント

_ S.U ― 2012年09月17日 15時01分41秒

 映画での保井算哲使用の望遠鏡、テレビの予告編で見ました。
 真鍮製鏡筒は西洋にモデルがあったなら作られた可能性はありますが、架台は木製にしてもこんな三脚では作らなかったでしょうね。三脚はいろいろと便利なのですが、伊能忠敬の器具においても見たことがありません。だいたい1本柱です。

_ 玉青 ― 2012年09月18日 06時31分44秒

春海ゆかりの儀器は、現存するものについては、映画の中でも問題なさそうですね。
望遠鏡も残っていると良かったんですが…。

初期望遠鏡の外見は、不明のところも少なからずあって悩ましいです。

渡辺敏夫氏(『近世日本天文学史』)は、享保17年(1732)の『産業万金袋』という本から、「かな筒あり、なまり筒あり、内に入れる玉の数、本末に二枚、それより三枚四枚大に至りては八枚迄も入るるあり」という記述を引いているので、金属製鏡筒もあったのは確かだと思います。

ただ、中村士氏(『江戸の天文学者星空を翔ける』)は、各地の遺品を調査した結果、春海と同時代の森仁左衛門にしろ、後の岩橋善兵衛にしろ、日本製の屈折望遠鏡の鏡筒は、事実上すべて紙製の一閑張で仕上げてあったと考えられているようです。たしかに製作数としては圧倒的にそうだったのでしょう。
また中村氏は、宝暦改暦当時に幕府天文方が使っていた「大望遠鏡」というのも紹介されていますが、これも一閑張だったようです。その架台たるや、一本柱から鏡筒を滑車でつるして、柱の四方を囲む横棒に固定して覗くという、おそろしく原始的なものでしたから、日本では架台の工夫が相当遅れていたようです。

いずれにしても、春海の望遠鏡として、写真の品はちょっと…と思います。

_ S.U ― 2012年09月18日 07時46分56秒

 『天地明察』は、当面は、映画館に行く可能性もあるので原作・予告とも封印しています。それで、一般的な考証としてですが、金属製が利用出来たかは、渋川春海が若かった頃に、どれほどの公的支援が得られたかによると思います。このへんは、映画の中心主題にも関わるのかもしれません。

 筒が紙製だと軽いので、架台には櫓も滑車も必要なく、それこそ、そこらへんの棒を三本組み合わせて自作、という考えもあったかもしれません。まあ実際に三脚が使われた可能性はとても低いので、可能性だけの議論です。

 そういや、渋川春海については、稲垣足穂の「星の学者」にそうとう詳細な記述と破格の高い評価が盛り込まれていました(「破格」の高い評価というのは「春海に破格」というのではなく「足穂に破格」という意味です)。こちらは映画の前に再読しておきたいと思っています。

_ 玉青 ― 2012年09月19日 06時05分18秒

>稲垣足穂の「星の学者」

おお、そっちの線もありましたね。
怪人が巨人にどう挑んだか、私も注目して再読してみます。

_ mimi ― 2012年09月19日 07時57分54秒

お久しぶりです。日本に戻ってきて、天地明察を見に行こうと思っていたところでこの記事を読み、とても興味深く拝見しました。

実は、フランスから日本に戻る機内で、「プロメテウス」を見ました。
(私はもともとこの映画が「エイリアン」シリーズだと知らなかったのですが)
今年の夏のバカンスで、ラスコー洞窟やペッシュ・メルル洞窟の壁画を見てきたところですが、この映画では、古代遺跡に星図が発見され、他の古代遺跡にも、未知なる惑星が指し示されていて、人類の起源の謎を解き明かすその惑星を探しに行くというストーリーですが、やはり今年は天文が盛り上がっているんですね。

ラスコー洞窟でのフランス語の解説を聞いていて思ったのですが、現地での解説と通説は若干違っていたりします。
どうでもいいことは、訳されないというか(苦笑)
残念ながら(?)壁画には星図はありませんでしたが、古代のロマンに触れ、アンティークの星図を集めたくなった私です。

_ 玉青 ― 2012年09月19日 22時36分48秒

mimiさん、お帰りなさい。以前のお話にあったように、久しぶりの日本は、驚異に満ちて感じられるのではありませんか?

>プロメテウス

なるほど、そう言われて見ると、映画の世界も天文づいているようですね(プロメテウスと天地明察の距離感がものすごいですが・笑)。世の中何がきっかけになるか分からないもので、プロメテウスからアンティーク星図コレクションが始まるのも大いに「あり」だと思いますよ。私の方も、mimiさんのコメントに便乗して、話題をアンティーク星図の方に持っていくことにしましょう。

_ S.U ― 2012年09月21日 20時07分58秒

映画「天地明察」の予告編は封印しているのですが、気になる写真があったのでお尋ねします。この望遠鏡に宮崎あおいさんが触れている写真が、webのニュース記事で配信されているのですが、その宮崎さんの背後の壁に張ってある図は何の図でしょうか。天文か地理に関する図なのでしょうか判別できません。

 なぜ、これが気になるかというと、フェルメールの絵の「天文学者」にもやはり正体不明の図が、背後の家具の面に貼ってあって、違うのですがそれでも何となく似ているように思うからです。

どちらでもよいので何かわかればお教え下さい。

_ 玉青 ― 2012年09月21日 21時22分29秒

おや、それは気になりますね。
問題の画像はどこで見られましょうか?

_ S.U ― 2012年09月21日 21時40分16秒

(すみません。(未記入)をやってしまいました。前項を削除してやって下さいませ)

説明不足ですみません。
「天地明察」の画像は、以下にあります。
http://www.cinra.net/news/2012/06/22/205603.php
写真をクリックすると拡大されます。

フェルメールの絵は、「天文古玩」さんの2009/6/9にあります(笑)。

これらは同年代です。フェルメールの天文学者は1668年頃の作とされていますが、この年に算哲は29歳くらいで改暦作業中でした。おなじ系統のものかもしれません。

_ mimi ― 2012年09月22日 00時30分32秒

個人的に、日本こそが『驚異の部屋』の最たるものだと思っています。

フェルメールの絵、地理学者と対のものですね!ルーブルで見たことが
あります。しかし、玉青さんも、S.Uさんもいろいろなものに、精通されていて、お二人の頭の中も、『驚異の部屋』ですね。(最大の賛辞のつもりです)
自分の未熟さを心地よく思い知らせていただき、感謝しております。

天地明察、本日見てまいりました。いろいろお聞きしてみたいのですが、まずはお二人が映画を見られてからということで・・・。

ルーブルで、フェルメールを見たくなりましたが、その前に、オランダ海洋博物館にあるホンディウスの天球儀を見て、再度眺める贅沢を味わいたくなりました。

_ 玉青 ― 2012年09月22日 07時06分54秒

○S.Uさま

>天地明察

うーん…これはいかにも茫洋としていますねえ。
より鮮明な写真があるといいのですが…

雰囲気としては、どうも東洋系の天球図のように見えます。春海自身の「天文分野之図」の下絵、という設定かもしれません。
ただ、仮に天球図だとしても、中央(天の北極付近)の小円と赤経線が黒々と目立つので、春海の図とはちょっと印象が異なる点もあります。
私の目に一番似て見えるのは、宋代の淳祐天文図です。↓によく図録に出ている拓本をネガポジ反転してみました(星図部分のみ)。

http://www.ne.jp/asahi/mononoke/ttnd/temp_image/junyuu

拓本の形で招来した図を、自らの研究資料として、必要な部分のみ模写して壁に掲示してある…という設定ではいかがでしょうか?

>フェルメール

これは特異な部分に着眼されましたねえ。mimiさんと同じく、S.Uさんの脳内構造に吃驚です。(笑)

私は最初、時代・国から考えて、セラリウスの『Harmonia Macrocosmica』の一葉かと思いました。チェックしてみると、たしかに何となく雰囲気が似ている図(例えば↓のようなグラフィカルな図)も見つかりましたが、まったく同じ図はありませんでした。

http://vintageprintable.com/wordpress/wp-content/uploads/2010/09/Celestial-Harmonia-Macrocosmica-of-Andreas-Cellarius-Plate-_16.jpg

で、現在探索の手を諸方に伸ばしつつあるので(←ちと大袈裟)、その顛末はまとめて1本の記事にまとめたいと思います(答はまだ見つかっていません)。


○mimiさま

おお、最大級の賛辞をありがとうございます。
(ただ、S.Uさんはともかく、私の方は付け焼刃の「えせ」にすぎないので、いささか、というか大いにオモハユイです;)

フェルメールの名画、ホンディウスの天球儀…またまた羨ましいお話!
やはりフランスにお住いという地の利は大きいですねえ。

天地明察は映画に行けるかどうか危ぶんでいますが、とりあえず原作は読了しました。
私にお答えできるかどうかは分かりませんが、場を盛り上げるためにも、S.Uさんが映画館に足を運ばれた頃に、また問いを投げかけていただければ幸いです。

_ S.U ― 2012年09月22日 08時30分02秒

おぉ、短い時間にもかかわらず候補を見つけていただいてありがとうございました。

初めに、mimiさんに最大級の賛辞をいただいたことに、深く御礼申し上げます。でも、玉青さんはともかく、私は好きなところをつまみ食いしているだけでして、『驚異の部屋』というほどの立派なコレクションが中にも外にもあるわけではありません。たまにでもお楽しみいただけるコメントがさせていただければよいと思っています。

 それから、私も映画はすぐに見に行けるとは限らないので、特別な演出に関係ないことでしたら、歴史上のこととか当時の日常に関することなど、適当に出していただいてけっこうです。

 さて、お尋ねした図ですが、「天地明察」のほうが、北極を中心とした東洋の星図というのは、なるほどと思いました。右の方が空白のように見えるのは、書きかけと見るのですかね。ところどころ線が太く見えるのは、ピントがぼけて何本かの線が重なっているのかもしれません。これは、映画を見るか映画の関係の方に尋ねればおそらくは答えのある問題でしょう。

 フェルメールのほうは、私が見つけたというより、フェルメールの作品カタログのページに見つけた解説から知ったものです↓

http://www.essentialvermeer.com/catalogue/astronomer.html

このページの絵の件の図の部分にマウスを持って行くと右に解説が出ますが、あまり納得がいきません。単に星座早見であろう、と意味だとすると、とてもそうは見えません。もっと高度な内容を含んだ図ではないかと思います。そういう意味で、玉青さんの挙げられた類似の図のほうが、近いように思います。

 このセラリウスの図は、天動説による太陽の軌道で、その動きを期間ごとに分け、何らかの時点を特徴づけたものと見てよろしいでしょうか。これに類した仕事を、渋川春海が授時暦にもとづいてしたことが足穂の「星の学者」に出ていました。

 それから余談ですが、上のページの絵の解説によると、フェルメールの天文学者が来ているのは和服だということになっています。この天文学者が渋川春海の知り合いだと申すつもりはありませんが、共通する点が多いのは面白いです。

_ 玉青 ― 2012年09月23日 08時30分54秒

ページのご紹介をありがとうございました。
なるほど、フェルメールの絵はすっかり研究されつくしていて、背景の小物なんかも、実は専門家にはすでに正体が知れているのかと思ったのですが、例の図についてはまだはっきりしないのですね。

この件は、現在天文史学のメーリングリストにも投げかけてあります。
既にいくつかレスがありましたが、みな推測まじりのものばかりで、謎は深まるばかり。たぶん週明けにまた回答があると思うので、それが出そろってから総括したいと思います。(考証に長けたメンバーですから、きっと…と思うのですが、もしそれでも答が出なかったら、この図は本当に謎の図ということになりそうです。)

以下補足です。ご紹介のページを見てちらっと思ったのですが、解説文に「Other historians believe it is a planisphere, a star chart in form of two adjustable disks rotating on a common pivot, used to display the visible stars for any time and date.」とある中で、「a star chart in form of …」以下の記述は、ひょっとしたら、このページの作者による早とちりの補足かもしれません。Other historians は、単にこの図を planisphere(天球図、平面天体図)だと言っただけかもしれず、それならば素直に理解できます。(歴史的には「星座早見盤」の意味でのplanisphere は、“movable planisphere”の略から来ているらしいです。)

_ Ha ― 2012年09月23日 11時02分00秒

貴ブログ、いつも興味深く拝見しております。
何年か前に一度だけコメントさせていただいたことがありますが、ほとんど読み逃げばかりで申し訳ありません。

私はこの映画、先週の日曜日に見てきました。
おっしゃる通り、私もあの望遠鏡(三脚架台、真鍮製?鏡筒)が出てきたときにはかなり違和感を覚えました。
ただ、映画のストーリー上は、あの望遠鏡は和製ではなく輸入物という設定だったと思います。(少々ネタバレになってしまいますが)授時暦がたまに食の予報を外す理由がどうしても分からなかった算哲が、水戸光圀におねだりして、西洋の禁制品をいろいろ入手したというくだりで出てきたものだったような…。
江戸前期、西洋ではすでに三脚架台が作られていたということもありうるのかなぁ??
・・・う~ん・・・??と思いながら見ていました。

それ以上にこの映画で唖然とさせられたのが、太陽が欠け始めた時の情景描写です。同様のシーンが2回(あるいはもっと?)ありましたが、あれはひどいです。
ネタバレになりますので詳細は控えますが、「安倍晴明の伝奇だったらまだしも、渋川春海伝で、いくらなんでもそりゃないでしょ…」といった内容です。
全体としては大変良くできた映画ですので、あのシーンさえなければ…と残念に思いました。(見てのお楽しみに。^^;)

_ S.U ― 2012年09月23日 16時14分16秒

>天文史学のメーリングリストにも投げかけて
おぉ、これは心強いですね。解けたら快挙ですし、解けなかったら難問であることが確認されるわけですから、どちらにしてもいいことです。私は、それらしい説をなんら挙げられずに残念ですが、当てずっぽうの予想として、地球の北極を中心にした地図で、暦学に関わる何らかの地帯分け(時差とか月食帯とか)をしたものというのを出させていただきます。

planisphereは、「平面天体図」の意ですか。了解いたしました。でも、これの元来の語意まで拡張してしまうと、球面のstereoscopic projection と同義になり、平面に描いたいかなる星図も(世界地図もですが)、そもそもは planisphere になってしまいますね。やはり難問ですな...

_ 玉青 ― 2012年09月23日 22時11分27秒

○Haさま

こんにちは。天地明察の件、お知らせいただきありがとうございます。
なるほど、「舶来物」という設定なわけですね。そうなると…
というわけで、ここからまたネタを頂戴して、記事を一本書くことにします(最近は頂いたコメントに触発されることが多いです。あるいは「便乗」とも言います・笑)。

映画の中では、日食がまた微妙な描写だそうですが、私は原作を読みながら、北極出地の旅における観測の場面がものすごく大掛かりなのが気になっていました。さっき予告編を見たら、何かダンゴムシのような、妙なドーム状構造物が写っていたりして、どうも観測風景に関しては、「所詮エンターテイメントなんだから、その辺はご愛敬で…」的な、現実を無視した空想的描写が多いような気がします。

天文史の専門家は当然それに気づいているのでしょうが、「まあ近世天文史上の出来事が映画になってヒットするなんて、それこそ空前絶後のことだし、この際細かいことはいいじゃないの」という、「大人の態度」で見守っておられるのかなあ…と推測しています。

(でもまあ、虚と実はやっぱりどこかで区別しておいたほうがよいと、個人的には思います。)

○S.Uさま

予告編を見たら、例の謎の図が、もう少し鮮明に写っていました(下はキャプチャー画像)。
http://www.ne.jp/asahi/mononoke/ttnd/temp_image/meisatu
S.Uさんの見立てどおり右側は空白になっており、結局「制作途中の天球図」という設定のようです。

フェルメールの方は依然謎のままです。S.Uさんの予想の当否を含め、いろいろ期待が高まりますが、こちらはもう少し時間がかかりそうですので、順序が逆になりますが、上記の春海の望遠鏡の続編を先に記事にするかもしれません。

>平面天体図

あはは、やはりそう思われますか。私も変な言葉だなあと思いながら、手元の英和辞書に書いてあったので、そのまま使ってみました。でもまあ、これは「天球図」と言い切ってしまったほうがすっきりしますね。

_ mimi ― 2012年09月24日 02時08分43秒

Haさまのおっしゃるとおり、あの望遠鏡は、舶来物という設定でした。
あと、ダンゴムシのようなドームは、改暦の命をうけた算哲の観測所です。
玉青さんやS.Uさんが、もしもfacebookをされているようでしたら、
http://www.facebook.com/#!/tenchimeisatsu.movie
こちらのページをご覧いただくと、かなり鮮明に映画に使われた機材等が写真で見れるので、もしもご興味があればと、再度出没しました。
(ご存知でしたらすみません)
しかし、古来亀は、北斗七星の化身と呼ばれていたんですね。
全然知りませんでした。

_ S.U ― 2012年09月24日 07時29分51秒

玉青さん、mimiさん、ありがとうございます。「天地明察」の図は、書きかけの天球図で間違いないようですね。周りの円周がごじゃごじゃしているのは、「天文分野之図」と共通しています。

http://library.nao.ac.jp/kichou/open/043/index.html

望遠鏡とフェルメールについては、今後の発展に期待しております。水戸のご老公なら舶来品の調達は得意そうですねぇ。

_ 玉青 ― 2012年09月24日 22時43分14秒

○mimiさま

ありがとうございます!
Facebookのページで、セットの細部をじっくり見ることができました。

>古来亀は、北斗七星の化身

おお、それは寡聞にして知りませんでした。
きっと北方の守護神、玄武のイメージから来ているのでしょうね。

○S.Uさま

宮崎あおいさんが背負っていた図の謎は一件落着ですね。
フェルメールの件の方も、じわっとレスが来ていますよ~。
しかし、ズバンと直球ど真ん中はまだです。相当の難問のようです。。。

_ S.U ― 2012年09月25日 19時27分25秒

>フェルメールの件
 ありがとうございます。楽しみです。玉青さんのご紹介のページから連想される太陽・惑星軌道説も有力だと思いますので、これと北極中心の地図説との2つにベットしたいと思います(お金は賭けませんけど)。

>古来亀は、北斗七星の化身
 私も知りませんでしたが、知らなかったくせに出しゃばらせていただきますと、九星の起源とされている洛書のことを思い出しました。

 今、ネットで検索したところ(下をご参照)、洛書の3x3魔方陣を甲羅に背負った亀の件で、その魔方陣の九星は北斗七星に二星を加えた北斗九星と見なされることがあるそうです。亀が北斗九星を背負っていたと見なすこともできそうです。四神の玄武の関係もあるとは思いますが、こちらからの連想も考えられます。

http://www.rakuten.ne.jp/gold/fusuidoragon/kiji/mahojin.html

 ちなみに、伝説なのでどうでもよいことかもしれませんが、こんな麻雀牌かドミノのような星の柄を背負った亀がいるものでしょうか。ホシガメの一種ですかね?

_ 玉青 ― 2012年09月25日 22時27分22秒

>北斗九星

ははあ、なるほど。
それは寡聞にして知りませんでした(我ながらずいぶん寡聞な人間ですね・笑)。
それにしても、輔星のアルコルを加えて「北斗八星」とするなら分かりますが、もう1つの星(弼星というんですか)は、ネットを見てもなんだか正体不明ですねえ。
思うにこれは、易学における九星の観念(=純粋な観念)と、現実の北斗を後から無理やり結びつけたために、齟齬をきたしているのでしょう。

そういえば思い出しましたが、日本でも奈良時代に、背中に北斗七星の紋様がある亀が見つかって、これは瑞兆なりというので「霊亀」と改元されたとかなんとか。これも亀と北斗の結びつきを説く、中国由来の観念に基づくのでしょうけれど、こうなるとなかなか亀もあなどれんですね。

(これまた蛇足ながら、ホシガメは陸ガメなので、たぶん河からは登場しないでしょう。)

>フェルメール

例のMLの方は、結局結論がないまま、レスも下火になりましたので、この辺で総括してみようと思います。よって、賭けは不成立ということにしましょう。(^^)

_ S.U ― 2012年09月26日 08時02分27秒

>九星の観念(=純粋な観念)と、現実の北斗を...
 そうですね。北斗が9星からなる、という強い信念があったわけではなさそうで、無理にこじつけたものなのでしょう。いわゆる九星占術の本命星(一白水星...)も、5惑星と7色を組み合わせて無理に九星にしています。天界に9つの星がセットになっているものを見つけるのが難しかったのかもしれません。

>霊亀
 おぉ、日本でも出ましたか。
 そろそろ現代にも出てほしいです。

_ 玉青 ― 2012年09月26日 22時34分39秒

>そろそろ現代にも出てほしい

あはは、まったくです。
まあ、21世紀の今になっても、神頼みならぬ「亀頼み」というのも、いささか情けない話ではありますが。。。(笑)

_ S.U ― 2012年09月29日 19時54分12秒

映画の「天地明察」を見てまいりました。とても楽しめました。史実と比べて云々ということはありますが、この映画は他の時代劇映画に比べるとはるかに史実に近いと言えると思います。もちろん、あからさまにちがうところもあります。

 前に、玉青さんに背景の張り紙についてお尋ねしましたが(おかげさまでそれは解決しました)、この映画は張り紙だらけで、こんな張り紙が多い映画は見たことがないくらいです。映画ではほとんど説明はありませんでした。気になりましたが、説明していると1セメスタくらいはかかるでしょう。

_ 玉青 ― 2012年09月29日 20時21分07秒

あ、行かれましたか。
S.Uさんのお眼鏡にかなったのであれば、安心して見られます。

ところで、「天界」の最新号で、「企画展・渋川春海と江戸時代の天文学」というのを、大阪市立科学館で開催中という情報がありましたね。
科学館の公式ページ(↓)によれば、「映画「天地明察」の撮影で実際に使用された道具類も展示します」とのことですが、張り紙類も展示されるんでしょうかね。改めて解説などあれば、見てみたいです。

http://www.sci-museum.jp/server_sci/program/teach.html#tentimeisatu

_ S.U ― 2012年09月30日 08時08分10秒

>お眼鏡
 私の眼鏡などザル眼鏡ですし、三船敏郎が出るような時代錯誤的な時代劇が大好きだったので、ぜんぜん厳密に考えないで下さい。
 
 張り紙については、当時の日本やヨーロッパの資料をベースにして書かれた物だと思いますが、渋川春海の時代に入手出来たかどうかはまったくわからないものもある、と言った類の問題です。江戸後期であれば問題なさそうなのですが、前期では幕府や学者がどこまで手を伸ばしていたか確実なことはわからないし、資料が無くてもスケッチ程度なら自由な発想で描けるかも、というあいまいな領域のように思いました。

 多くの張り紙の中には、ご紹介いただいた展示会で登場する物もあるのではないかと思います。

_ 玉青 ― 2012年10月01日 06時17分24秒

>時代錯誤的な時代劇

ここで思わず声を出して笑いました。(^J^)
何となく下の記事を思い出しました。
http://mononoke.asablo.jp/blog/2012/04/06/6402915

さて、張り紙の件。
作る側からすれば、「まあイメージですよ、イメージ」程度かもしれず、それは見る側にしても同様でしょうが、なにしろ前例のない映画ですから、今後への影響を考えて、その辺しっかり作りこんでいてくれたら嬉しいですね。(でもあの望遠鏡を見ると、あまり期待できないかな…ブツブツ)

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