緑の恐怖2012年11月01日 06時11分14秒

ふとカレンダーを見たら、今日から11月なんですね。
俳句の世界だと、すでに冬。びっくり。。。

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さて、昨日のつづき。
以前、古い星図帳(アトラス)を買いました。ぎりぎり古星図と言ってもよいであろう、19世紀半ばのものです。

(クリアカバーがかけてあります)

E. Otis Kedall
 Atlas of the Heavens (designed to accompany the URANOGRAPHY)
 Butler & Williams, Philadelphia, 1845

同じ著者の『Uranography』という天文教科書の付図として刊行されたもので、18枚の星図を含みます。


中身はこんな感じで、黄・ピンク・緑・茶色の4色で塗り分けられた、わりと素朴な図柄の星図です。これだけだと、まあ普通ですが、驚いたのはその裏面。


パッチ状の濃い茶色のしみで、裏面全体がまだら模様になっています。
このシミのでき方には規則性があって、緑に塗られたところだけが焼けてしまっています。さらにこの「焼け」は、裏面だけではなく、対向面(本を閉じたときに緑の区画と接触する部分)にも生じており、かなり強烈な作用です。



(↑上から:緑に塗られた“ちょうこくしつ座”、その裏面、対向面)

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この現象は、昔の緑の絵の具に含まれる銅と酸の作用によるものだそうです。
裏返せば、彩色された時代の古さを物語るものですが、しかし、昨日のKanas氏やBrown氏によれば、こういう部分にまで気を配って、完璧な古彩色に迫ろうとする現代のアーティストもいるそうで、なかなか彩色のみで時代判定をするのは難しいようです(むしろ「紙」の方がずっと雄弁だ…というようなことをBrown氏は述べています)。
斯道深し。。。


【付記】
「緑の恐怖」と文字を打って、何か聞き覚えがあると思ったら、ウルトラセブンにそういう回がありました(植物状のワイアール星人が登場)。