Optics ― 2012年11月13日 20時41分05秒
19世紀前半にイギリスで出た百科辞典の挿絵。
恥を忍んで告白すると、私は望遠鏡をテーマに駄文を草しているわりに、光学のことがさっぱり分かりません。それも専門的なことが分からない…というのではなしに、いちばん最初に学校でレンズのことを習い、実像と虚像の話題が出てきた辺りから、根本的に分からぬまま現在に至っている気がします。
その理由は明白で、光学がすぐれて幾何学的表現をとる学問分野だからです。幾何であれ、代数であれ、数学が鬼門であることは、これまで何度も記事に書きました。
こういうグラフィカルな表現を見ると、光学というのは、明快な直線と美しい曲線が織り成す、一種の純粋さをたたえた学問だと感じます。大天文学者のジョン・ハーシェルが、若い頃に天文学を嫌って、光学を志したのも、そのピュアネスに惚れ込んだからでした。
しかし私の目には、こういう図が一種の「絵」として映ずるだけで、その背後にある「理」が脳髄にしみこんできません。とても悲しいことです。
しかし私の目には、こういう図が一種の「絵」として映ずるだけで、その背後にある「理」が脳髄にしみこんできません。とても悲しいことです。
いっぽう、光学は純粋であると同時に、すぐれて「陰影に富んだ」学問だとも感じます(扱う対象が光と影なのですから、それも当然です)。そして、私の理解が及ばないだけに、いっそう秘密めいたところがあって、どうしても乱歩の「鏡地獄」の世界を連想してしまいます。
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