クリスマスイヴ、黒猫にみちびかれて(前編) ― 2012年12月24日 16時19分30秒
鴨沢祐仁さんが24歳のときに描いた、初期の代表作「流れ星整備工場」(1976)。
主人公は(もちろん)クシー君とイオタ君。
舞台はクールなプラトーン・シティ。
そして季節はクリスマスを目前に控えたある晩です。
森の中の天文台を訪れたふたりは、空に輝く星がすべてプラネタリウムから生まれたものであり、見慣れた市電車庫は、実は流れ星を再生して、もう一度夜空に放つための「流れ星整備工場」だと聞かされて……というファンタジックな作品。
発表誌は「ガロ」ですから、もちろん単なる子ども向けの童話ではなくて、いろいろひねった設定や、洒落た小道具が登場します。
そのひとつが、作品の中で重要な役を演じる、1匹の謎めいた黒猫。
クシー君とイオタ君を天文台まで導いたこの猫、実は天文台の主・キセノン博士の愛猫(名前はテクネチウム)だったことが、途中で明らかになります。
そのひとつが、作品の中で重要な役を演じる、1匹の謎めいた黒猫。
クシー君とイオタ君を天文台まで導いたこの猫、実は天文台の主・キセノン博士の愛猫(名前はテクネチウム)だったことが、途中で明らかになります。

★
さて、クシー君たちが「黒猫のしっぽ線」に乗り込んだころ、
ちょうど私の前にも黒猫が…
(後編につづく)
コメント
_ たつき ― 2012年12月24日 20時04分28秒
_ 玉青 ― 2012年12月25日 06時25分21秒
>彼女もこの作品の愛読者
あ、そうかもしれませんね。
私はこれまで、このお二人を「賢治や足穂の影響圏内にあって、類似した世界観を描いた表現者」として並置して(すなわち個々単独に)考えていました。でも考えてみれば、お二人の間にもっと直接的な影響関係があってもおかしくはないですね。
そこで早速思い立って検索したら、92年に河出から出た、鴨沢さんの『三日月国のレプス君』という単行本の帯コピーを長野まゆみさんが書いているそうで、確かにたつきさんの推測通りのようです。
あ、そうかもしれませんね。
私はこれまで、このお二人を「賢治や足穂の影響圏内にあって、類似した世界観を描いた表現者」として並置して(すなわち個々単独に)考えていました。でも考えてみれば、お二人の間にもっと直接的な影響関係があってもおかしくはないですね。
そこで早速思い立って検索したら、92年に河出から出た、鴨沢さんの『三日月国のレプス君』という単行本の帯コピーを長野まゆみさんが書いているそうで、確かにたつきさんの推測通りのようです。
_ たつき ― 2012年12月25日 22時27分54秒
玉青様
やっぱりそうでしたか、クリスマスプレゼントをいただいたようなとても大きな喜びです。同志(鴨沢さん・長野さん)はかならずどこかでつながっているものなのですよね。
これはますますクシー君たちの本を読まなけば。
ところで、長野まゆみさんの「耳猫風信社」だったかな、ピカビアという名前の猫が出てくるのですが、このとき彼女の脳裏に鴨沢さんが写っていたのでしょうかね。だったらさらに嬉しいのですが。
やっぱりそうでしたか、クリスマスプレゼントをいただいたようなとても大きな喜びです。同志(鴨沢さん・長野さん)はかならずどこかでつながっているものなのですよね。
これはますますクシー君たちの本を読まなけば。
ところで、長野まゆみさんの「耳猫風信社」だったかな、ピカビアという名前の猫が出てくるのですが、このとき彼女の脳裏に鴨沢さんが写っていたのでしょうかね。だったらさらに嬉しいのですが。
_ 玉青 ― 2012年12月26日 20時30分40秒
あ、これまたそうかもしれませんね。
もちろん直接にはフランシス・ピカビアの名に由来するのでしょうけれど、鴨沢さんの『クシー君のピカビアな夜』の発刊よりも、長野さんのピカビアが後発だったら、「鴨沢好き」としては、必ずやそのタイトルが念頭にあったはずです。
…と言いながら、実は『ピカビアな夜』は読んだことがないんですよ。古書価もけっこう高くなっていますが、思い切って買ってしまおうかな……ええ、そうしましょう。ご縁をいただき、ありがとうございました。(^J^)
もちろん直接にはフランシス・ピカビアの名に由来するのでしょうけれど、鴨沢さんの『クシー君のピカビアな夜』の発刊よりも、長野さんのピカビアが後発だったら、「鴨沢好き」としては、必ずやそのタイトルが念頭にあったはずです。
…と言いながら、実は『ピカビアな夜』は読んだことがないんですよ。古書価もけっこう高くなっていますが、思い切って買ってしまおうかな……ええ、そうしましょう。ご縁をいただき、ありがとうございました。(^J^)
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ガロとは懐かしいですね。
それにしてもこのマンガは初期の長野まゆみさんに雰囲気がとてもよく似ています。もしかすると、彼女もこの作品の愛読者なのかもしれません。遅ればせながら、私も読んでみたいと思います。