ジョバンニが見た世界…大きな星座の図(9)2013年03月05日 20時47分26秒



時計屋の店先を飾る星図として、当初考えていたのはこの星図です。もう何年も前からそのための候補とみなしていました。

Ferdinand Reuter,
 Der Nördliche Gestirnte Himmel『北天の星空』
 Justus Perthes (Gotha), 1874(第4版)

4枚の星図をつなげた掛図式のもので、全体はおよそ99×95cmと、ずいぶん大きな星図です。背面は紺の布地で裏打ちしてあります。

パッと見、時計屋よりも、「午後の授業」の方が相応しいような気もしますが、それでもこの星図を敢えて時計屋のショーウィンドウに飾りたかったわけは、図中に古風な星座絵が描き込まれているからです。前にも書いたように、午後の授業で語られる科学的宇宙像に星座神話は似合わない気がするので、これはやはり時計屋向きだろうと感じます。


この星図を最初に見たのは、もう10年以上前だと思います。深みのある濃紺の空、白く煙る銀河、きらきら光る金箔張りの1等星、鈍い朱で控えめに描かれた星座絵。何て美しい星図だろうと思いました。そして存在感のある大きさ。

これは絶対手に入れたい…と思い、売っていたのは例によってeBayですが、何日も前からドキドキしながら、最終日を待ちました。そして9分9厘自分のものと確信した次の瞬間、“Sorry…”と画面に表示され、一瞬何が起きたのか分かりませんでした。終了直前に「秒殺」するという入札手法の存在を知ったのは、これが初めてです。優美な星図に不似合いな、怒りと悔しさの感情がこみ上げてきて、その後はしばらく抑うつ的な状態で過ごしました(若かったのでしょう)。

この星図のことはその後も忘れることなく探索を続け、ちょうど1年後に再会できました。つまらない自慢話をするようですが、苦労が大きかった分、無事入手できたときには本当に嬉しかったです。

(星図の細部に注目しつつ、この項つづく)

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