謎の日食絵葉書、その謎は解けた!2013年04月21日 05時47分42秒

昨日の絵葉書について、コメント欄で推理をお寄せいただいた皆さん、どうもありがとうございました。ついに謎が解けました。といっても、今回は全面的に他力本願です。このブログでもときどき話題にする、天文学史のメーリングリストに質問を投げたら、何人かの方が丁寧に教えてくれました。

実は、私は入り口の部分から間違えていて、この「 total eclipse 」は、皆既日食ではなく、皆既月食の意味でした。これは盲点。で、結論から言うと、この絵葉書は一種の艶笑カードで、ここでいう「月」とはズバリ「お尻」のこと。つまり、英語の moon には「お尻」の意味(婉曲表現)があり、さらに動詞で「ふざけて他人に尻を見せる」というスラングにもなるそうです。

(大殿筋を中心とする尻の構造と月)

右側の女性に注目すると、身体をかがめてストッキングをチラ見せしている彼女のポーズは、当時の物差しに従えば、お尻を誇示する扇情的なそれであり、その「月」が服に隠れて見えない状態を指して「皆既月食」と洒落てみた…ということのようです。
なるほど、7年越しの謎も、解けてみればあっけないものです。でも、スッキリしました。

天文学というお堅い学問を、こういう下ネタに使って、笑いをとったところが、この絵葉書の手柄なのでしょう。裏返せば、天文学とは、そういう俗な笑いの対極にあるものという一般の理解が前提としてあり(今でもたぶんそうでしょう)、だからこそ価値の転倒(=おちょくり)による可笑しみが、そこに生まれるのだと思います。


補足】 
 あまり話をそっちに持って行っても何ですし、メーリングリスト諸氏もそこまではおっしゃいませんでしたが、実は「astronomy」は、「ass(尻)-tronomy」を利かせているのかも。

【補足2】
 そういえば、ass…もとい astronomer のウィリアム・ハーシェルが発見した天王星。原語の「Uranus」は、英語式発音だと「your anus」に聞こえるというのは有名な話。
 なんだか、話がそっちに行ってしまい恐縮ですが、思えば足穂氏も大のお尻好きでしたし、ここはひとつ野尻抱影翁と、輝星シリウスの名に免じてどうぞお許しください。