新緑の理科室2013年05月08日 20時10分44秒

5月に入り、爽やかな日々が続いています。
今日、通勤電車からぼんやり外の景色を眺めていたら、
朝の麦畑に風が吹き渡り、緑の波が大きくうねるのが見えました。
麦が黄金色に熟せば、夏近し―。

   ★


緑あふれる窓外の景色と、暗く沈んだ実験室。
その中で透明な光を放つフラスコ、冷却器、試験管。
理科実験の様を、これほど詩情豊かに描いた絵葉書は他にないでしょう。

この絵葉書は「金沢医科大学付属薬学専門部」が発行したものです。
大正11年(1922)に、「旧・金沢医専薬学科」が上記のように改組したのを記念して発行されたもので、同年の消印が押されています。

下に「まごうた」とあって、「え、馬子唄?」と最初不審に思いましたが、これは右から「たうごま」と読むのでした。すなわちトウゴマ(唐胡麻)のこと。窓の外に青々と茂っている、ヤツデのような葉っぱの草がそれです。

トウゴマは、下剤にも使われる「ひまし油」の原料で、たぶん種子から油を抽出する手順が実験実習に含まれており、これはその場面を描いた絵葉書だと思います。
(したがって、この部屋は理科室というよりは、もうちょっと高度な実験室なのでしょうが、ここでは理科室ということにしておきます。)

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