隕石のアソート2013年05月14日 05時28分42秒

仕事を休んでコンコンと眠り続けたら(1日20時間以上)、元気が戻ってきました。
基本的に春先からの疲労がたまっていたのだと思います。
老婆心ながら、何となくだるい方、この辺で思い切って休養をとるのも手かと。

   ★

さて、以下は前回の記事から連想した話題です(日曜日に書きかけて、熱発により中断したので、URLが2013/05/12になっています)。

鉱物のちまちました標本セットは、理科趣味アイテムの定番で、これまで各国で膨大な種類と量が作られてきたと思います。このブログでも、戦前の尋常小学校用のセットや、東京サイエンスが販売している最近の製品、あるいはスイス製の鉱石・化石セットなど、何度か登場しています。

最近、その隕石版があるのを知りました。つまり、隕石(や隕石に関連して生成したテクタイト類)の小型標本を、ズラッと箱詰めにしたものです。
ふつうの鉱物標本セットも同様でしょうが、こういう品に対するニーズは、「子供の教育玩具」とか、「スノッブを気取る、珍しもの好きのお父さんへのプレゼント」なんかがメインで、本格的なマニアやコレクターは一顧だにしないものだと思います。

とはいえ、隕石セットは新機軸であり、「珍しもの好きのお父さん」の一人として、これを買わない手はありません。

(以下、ごちゃごちゃした暗い所で撮ったので、見苦しい写真で恐縮です)

外箱はレザーを模した紙製(約21×37.5センチ)、発売元はアメリカの望遠鏡メーカー、MEADE(ミード)社です。
上で「新機軸」と書きましたが、私がたまたま知らなかっただけで、コピーライト表示を見たら2005年とあったので、ミードから売り出されたのは、もう8年も前です。



パチンとスナップを開けると、中にはもっともらしい「鑑定書」(アメリカでは名の通った天文教育家、マイケル・レイノルズが署名しています)と、内容説明シートが入っています。


そしてこれが中身。


説明書によれば、内訳は石質隕石8種、鉄隕石6種、石鉄隕石4種、テクタイト4種、インパクタイト2種の合計24種類。それぞれ直径45ミリのプラスチック容器に納められ、白いスポンジの穴にはまっています


箱の裏の目立たないところに貼られたシール。
「MADE IN PRC」のPRCとは「People's Republic of China(中華人民共和国)」のことだと初めて知りました。ひょっとして「MADE IN CHINA」だと、市場で軽んぜられる…という配慮があったんでしょうか(←憶測です)。
このセットはアメリカの業者から買ったのですが、結局太平洋を行ったり来たりで、地球環境には優しくない買い物だったかも。

   ★

上で書いたように、ここに集められた標本群は、希少性や市場価値において、特に見るべきものもないでしょうし、鉄隕石や石鉄隕石の中には、だいぶ錆が出てしまったものもあります。

とはいえ、その1つ1つが遠い宇宙からのメッセージ。単純に「市場価値」ではかってよい相手とは思えません。いずれも惑星間の広大な空間を旅した末に、轟然と地球に落下し、ときにはその熱と衝撃で、地上の岩石をとろかすほどのエネルギーを放ったツワモノたちなのですから。

そしてまた、ケースに入った標本が、きっちりと行儀よく並んだ様には、標本そのものの価値以上に、理科室趣味の徒をひきつける何かがあると思います。

コメント

_ S.U ― 2013年05月14日 07時23分14秒

 あっ、これいいですね。私もほしいです。

 ふと思いついたのですが、庭先か花壇の砂利石にこれ全部をいったんぶちまけてがじゃがじゃとかき回し、そのあとで元通りに回収できるかという不謹慎なゲームをしたら、何割くらい回収できそうでしょうか(隕石であることがわかればその種類まで識別できなくてもよいとします)。実際に試していただかなくても予想でかまいません(笑)。

_ 玉青 ― 2013年05月14日 07時47分39秒

私の答) 42%+α

たぶん10個は確実に見つけられると思います(鉄と石鉄は磁石にくっつくので)。
テクタイトも表面の性状から何となく分かりそうな気がしますが、自信がありません。
インパクタイト、そして石質隕石はいかにも難しそうですねえ。

これは、隕石入門講座の冒頭で、参加者に考えてもらうのにちょうどいい問題ですね。
そんな機会があれば、私もぜひ受講したいです。

_ S.U ― 2013年05月14日 19時29分58秒

>42%+α
 意外に高いと思いましたが、ほぼ「磁石」で決まっているわけですね。

>隕石入門講座
 そんな講座があればいちど参加してみたいですが、私は一度だけ、素人隕石探しをしたことがあります。1996年1月7日のつくば隕石の落下の数日後に、落下地点付近を探索しました。つくば隕石は白っぽい石質隕石でしたが、表面がすすのようなもので黒くなっているので、素人でも識別できるのではないかと言われていたように思います。公園と道沿いだけ30分くらい探したと思いますが怪しい石は見つけられずやめました。

 その後、数日経って、駐車場に差し渡し7cmくらいの鉄の塊が落ちていました。これは...と思って、当時、落下点付近で隕石鑑定所を開設していた地質標本館に持って行きましたが、これは溶鉱炉か何かの中で作られた人工物で、トラックか何かで運ばれてきて落ちたのだろうと断定されました。

_ 玉青 ― 2013年05月14日 23時18分21秒

>つくば隕石

おお、そんなご経験があったとは。
S.Uさんにとっては、不全感の残る結果だったご様子ですが、まあ、全宇宙的スケールで考えれば、星の間を漂っている只の石っころより、「溶鉱炉か何かの中で作られた人工物」たる鉄塊の方が、はるかに珍物のはず…と考えてみるのも一興かと。(笑)

_ S.U ― 2013年05月15日 06時20分53秒

>鉄塊の方が、はるかに珍物
 本当にそうですね。隕石なんぞ宇宙じゃそこらにゴロゴロ...あるのかな?
 
 今はもう不全ということはなく、特設隕石鑑定所に出頭する機会を得られただけでじゅうぶんです。落語の人情噺の「いい夢見させてもらったよ」 というやつですね。

_ 玉青 ― 2013年05月15日 20時46分09秒

「おまいさん、実はあそこでおまいさんが隕石道楽にのめり込んじゃいけないと、あたしが鑑定所の人に無理に頼み込んでね。ああ、今だから言うけれど、おまいさん、いやほんとに驚いちゃいけないよ、あの石は実はね…」

おなじみ「芝浜」の一席でございます。<(_ _)>

_ S.U ― 2013年05月15日 21時37分03秒

ははは...(爆笑)
  賢妻のおかげで道を踏み外さずにすみましたね。でも、そうなると今後は隕石っぽい石を見つけても、くず鉄屋に持って行くしかないんでしょうか。

_ 玉青 ― 2013年05月16日 06時30分36秒

いやあ、これは奥方の更なる手綱さばきが見ものですね。(^J^)

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