自分だけの鉱石倶楽部2013年05月31日 06時13分22秒

どうも仕事がバタバタして、ゆっくり過ごす時間がとれません。
新しい本を読むのも難しいので、こういう時は長野まゆみさんの天体議会を読み返して、気鬱を散じようと思いました。

私の場合、物語の後半で綴られる登場人物たちの心のアヤよりも、前半に出てくる風景やオブジェ、そしてふとした会話にいたく魅かれるので、そう長くはない小説ですが、結局前半だけを繰り返し読むことになります。今回もそうでした。

少年たちの理科趣味に彩られた交友を描く作品世界において、いわば聖なる会堂の役割を果たすのが鉱石倶楽部」です。理化学用品と標本を商う規模雄大な、そして古風な趣の店で、少年たちにとっては居心地の良いたまり場となっています。

このブログが求めているのは、詮ずる所ああいう情緒であり、自分は自分だけの鉱石倶楽部を作ろうとしているのかもしれないなと思いました。(「理科室風書斎」とか、「ひとり驚異の部屋」に加えて、「自分だけの鉱石倶楽部」という語彙を獲得したわけです。)

   ★

ふと『天体議会』を手に取ったのは、きっと最近、いくつか鉱石のかけらを買ったことも、無意識裡に作用していたのでしょう。
 

 

↑はオーストラリア産のボルダーオパール。鉄鉱石の母岩上に層状に生成した、美しい彩色を持つオパールです。

↓はメキシコ産のグリーンカルサイトの劈開片。
 

 

いずれも、涼しげな碧青の色合いが美しいと思いました。
で、たしかに美しいのですが、私はここから幾分妙な方向に連想を働かせました。

(妙な方向につづく)