妖異の明治2013年06月11日 23時14分20秒

リハビリついでに、さらに余談のつづき。

明治趣味に関していうと、私の中には川上澄生的な、伸びやかで華のある明治(=文明開化と鹿鳴館)というイメージもありますが、それとは別に、もっとおどろおどろしいイメージもあります。

それは、月岡芳年(よしとし)の陰惨な血みどろ絵とか、谷崎や乱歩が描く、耽美・怪奇・幻想に満ちた明治ものの作品世界から紡がれたものだと思います。
そんな世界は、天文趣味はもちろん、理科趣味ともあまり関係ありませんが、乱歩が顔を出すと、そこに怪しい科学趣味が一寸まぶされてくるような感じもあります。


今座っている部屋の隅に、古ぼけた浅草十二階の錦絵が掛っているのも、私の中に暗く淀む、幻想の明治への憧れのなせるわざに他なりません。
ひょっとしたら、このブログをお読みの方の中には、そうした嗜好を共有する方もおられるのではないでしょうか。