小さな活版所(1)2013年06月15日 17時24分58秒

さて、そろそろリハビリを終えて、普通に記事を書こうと思います。

記事がストップする前のことを思い出すと、「銀河鉄道の夜」の活版所の話題を書いていたので、まずはその続きから。
先月は一貫して、古い絵葉書に、昔の活版所のたたずまいを求めましたが、今度は活版そのものについて、そのモノとしての魅力を探ることにします。

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私は活版のことは何も知りませんが、活字の形は大好きです。
で、突然ですが、私も小さな活版所を立ち上げることにしました。
もちろんガチャンガチャンと派手に輪転機を回すというわけにはいきません。



それでも、平仮名やらアルファベットやら、鉛活字をスタンプ代わりに1文字ずつ捺していけば、理論的にはどんな作品でも(聖書まるごと1冊だって)、自分の手で印刷することができるはずです。


「小さな活版所」とはいえ、なかなか活字の種類も充実していて、「明朝体」、「宋朝体」、「教科書体」と各種の字体が揃っています。
ただし、今のところあるのは「銀河鉄道の夜」の6文字だけですが…。


活字ケース代わりに使っているのは、古い文選箱です。
ジョバンニが手にした「小さな平たい函」がこれで、たくさんの活字の中から、当面必要な字だけを拾ってこの箱に並べ、組版作業の職人に引き継ぐわけです。


 ジョバンニはすぐ入口から三番目の高い卓子テーブルに座った人の所へ行っておじぎをしました。その人はしばらく棚をさがしてから、
 「これだけ拾って行けるかね。」と云いながら、一枚の紙切れを渡しました。ジョバンニはその人の卓子の足もとから一つの小さな平たい函をとりだして向うの電燈のたくさんついた、たてかけてある壁の隅の所へしゃがみ込こむと小さなピンセットでまるで粟粒ぐらいの活字を次から次と拾いはじめました。  (「二、活版所」 より)


片手で持って作業できるよう、幅は約9センチ、長さは16.5センチの、ごく小ぶりな、浅い木箱です(岩波新書より一回り小さいサイズ)。小さな活版所には、ちょうどお似合いでしょう。

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この活版所の名前も、もう考えてあって、正式名称を「土星堂活版舎」といいます。
それに合わせて、会社のロゴマークを特注で作ってもらおうかとも思いましたが、土星のメタルスタンプを見つけたので、当面はこれを社印がわりに押すことにします。



(土星堂活版舎の紹介はさらにつづきます。
なお、小さな活版所の立ち上げに当たって、文選箱や活字選びに関しては、きらら舎のSAYAさんにいろいろお骨折りをいただきました。どうもありがとうございました。)