賢治缶 (未完成な第1夜)2013年06月18日 22時44分55秒

つい暑い暑いと言ってしまいますが、現に暑いんだからしょうがありません。
この鬱陶しい天気を忘れるような工夫は、何かないだろうか?
…そんな処暑の工夫として、最近の試みをちょっと書いてみます。

   ★

最近、小気味よい<賢治モノ>を揃えることができないか?という課題を考えています。賢治モノというのは、宮沢賢治の世界をギュッと凝縮したモノのことで、イメージするのは、以前試みた「タルホの匣(はこ)」のようなものです。

タルホの匣
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2010/03/31/4986797
 (連載は、第1夜から第11夜まで続きました)

あの時は、単葉機の切手とか、ゴールデンバットの空き箱とか、土星のシガレットカードとか、三日月のタイピンとか、稲垣足穂を感じさせるコマゴマした品を揃えて、「タルホの匣」と洒落てみたのでした。

で、最近、その賢治版が作れないか?というのを考えたのですが、やってみると、これが実に難しい。たとえば、『銀河鉄道の夜』は、賢治作品の中でも、具体的なモノの出現率が高いほうで、だからこそ「ジョバンニが見た世界」という連載も可能だったのですが、それでも相当苦労しながらモノ探しを続けました。

さらに「賢治そのものを象徴するモノ」となると、具体的なモノを挙げるのは、いっそう難しく感じます。もちろん賢治の作品にも形あるモノはたくさん登場します。でも、それは山であったり、空であったり、野原であったり、建物であったり、樹木であったり、動物たちであったり…要するに、そこにタルホ的な意味での「オブジェ」はあまり出てきません。基本的に賢治はオブジェを愛する人ではなかったのでしょう。

   ★


当初の構想では、自動車の形をしたお菓子缶に、賢治モノを詰め込んでみようと思ったのですが、計画は現在ちょっと頓挫しています。


用意したのは、銀河にちなむ、ミルキーウェイ・チョコの特製缶(噂によれば1999年に出たバージョン)。全長約17センチで、本体とボンネンット部が缶になっています。


足穂モノは、妙にスノッブ感がありますが、賢治モノは、全体にどこか玩具めいた感じがありそうな気がしたので、こういう可愛いものを用意してみたわけです。


   ★

というわけで、賢治缶の企画は失敗しましたが、せめてひと品でもふた品でも、ここに何か積んでみようという、その試みのあとを、ちょっと振り返ってみます。

(この項、たぶん間欠的につづく)

コメント

_ S.U ― 2013年06月19日 07時20分28秒

このお菓子の缶2つを合体させた自動車は不思議なアイデアでちょっといいですね。何となく賢治に合いそうです。

 ところで、単なる情報です。ご趣味にあうかどうかはわかりませんが(こちらはタルホ趣味のほうです)、つい2日前にメタリックパズルという金属製のモデルでフライヤー号が出ていることをLoft店頭で知りました。そこに、フォッカーはあったのですが、フライヤー号は売り切れていたので残念ながら入手できていません。

http://www.tenyo.co.jp/toyhobby/mn/

_ 蛍以下 ― 2013年06月19日 12時21分21秒

>そこにタルホ的な意味での「オブジェ」はあまり出てきません。

言われてみればそうですね。あまり考えたことがありませんでした。
足穂にとってのオブジェは自然を捨象したモノ。対して賢治は自然をそのままオブジェに見立てた。そんな印象があります。
いや、そうとは限らないかも・・・自信ありません。逆の例証があるかどうか、おいおい探してみたいです。

とにかく、<賢治モノ>を揃えるには広大な土地が必要になりそうですね。

_ 玉青 ― 2013年06月20日 20時53分45秒

○S.Uさま

おお、そういえば私も同じものを東急ハンズで見た覚えがあります。
S.Uさんのお眼鏡にかなったのであれば、私も早速ご相伴にあずかることにしましょう。このメタリックナノパズルシリーズ、たしかに値段の割によくできていますね。
私のほうは、賢治趣味も取り入れて(それと足穂にも『地を匍う飛行機と飛行する蒸気機関車』という怪作があったと思うので)、ライトフライヤーのほかにD51、あとおまけで「はやぶさ」も買ってみようと思います。雨の宵の無聊を慰めるのに丁度良さそうですね。

○蛍以下さま

>広大な土地

あはは、確かにそうかもしれませんねえ。
賢治さんも「石っこ」の異名を取ったからには、子供時分から、小さくて硬質でかっちりしたものを好む気質はあったのでしょうが、どうも人工的なオブジェには関心が向かなかったようですね。その辺は足穂と大いに違う点です。生活環境の然らしむるところでしょうか。まあ、「賢治缶」は無理にしても、何とか机の抽斗に収まるぐらいのボリュームで、賢治世界を構築してみたい…ということで記事の方は続けます。

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