鉱石倶楽部幻想(4)…cafeSAYAへ(後編)2013年08月17日 16時59分44秒

8月も残り2週間。
白い雲を見上げ、何となく寂しさが心の隅に宿る時期。

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(帰宅後に撮影)

この日は『ルーチカ図鑑/鉱物』という、オリジナル小冊子の発刊を記念して、冊子で取り上げられている鉱物が、お店の一角に飾られていました。
 

背後にハサミとか、いろいろ細々した道具類が見えます。これはcafeSAYAでは頻繁に各種のワークショップが開かれ、実験・工作系の催しでにぎわっているためでしょう。

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こういうふうに見てくると、cafeSAYAは理科的佳趣にあふれた、とても素晴らしいお店だと思われるでしょう。実際、そうに違いありません。しかし、同店にも「弱点」がないわけでもない。いや、本当は弱点でも何でもないのですが、私個人にとってはキビシく感じられた点です。

それは「男性には敷居が高い」ということです。特に中高年の男性には。
ですから、今回の訪問には少なからず勇気が要りました。

この日も、店主のSAYAさん以下、お店のスタッフも、お客さんも、その場にいたのは全員が女性でした。そこに何を勘違いしたのか、くたびれた男客が入ってきたのですから、相当な場違い感があった…と思います。(もちろんSAYAさんは、明るく迎えてくださいましたが。)
 

気弱く頼んだ天青石のソーダ(同店のドリンクは、みな鉱物名にちなんでいます)を前に、何となく所在なさを味わっているとき、相席の女性が優しく声をかけて下さったおかげで、ホッと救われたような気分でした。そして少しずつ言葉を交わしているうちに、その女性こそ、あの「時計草の庭通信」(http://zabiena.exblog.jp/)の主、zabienaさんご本人だと知った時の驚き!

zabienaさんにしても、そう頻繁にcafeSAYAを訪れているわけではないとのことですから、これは偶然にしても、相当な偶然です。そして、その不思議な偶然に、cafeSAYAというお店がいっそう謎めいて感じられたのでした。

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不思議と云えば、SAYAさんには、不思議な鉱物を見せていただきました。
南極で最初に発見された、その名も「南極石」。ガラス光沢を持った針状結晶の形態をとり、硬度は2から3といいますから、石膏と方解石の中間ぐらいの硬さがあります。

(瓶入りの南極石)

しかし、南極石が「石」でいられるのは、寒冷な場所のみ。室温ではとろりと溶けて、透明な液体になってしまうという、なんともはかない鉱物です。

(光にかざしたところ。すでに融解が始まっています)

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こうして、いっぷくの涼と、いっときの「鉱石倶楽部」ムードを味わって、お店を後にしたのですが、せっかくの機会に何も買わずに済ますわけには当然いきません。


外の炎暑を考えて、思わず買い求めたのはグリーンランド産の氷晶石
「溶ける石」である南極石とは反対に、こちらは18世紀末に発見された当時、「溶けない氷」と考えられたそうです。

(『天体議会』に話を戻して、この項もう一寸続く)