天体議会の世界…Smoking Boys(2)2013年09月25日 21時49分34秒

(昨日のつづき)


これもWillsのスターマークがついた逸品、「FOUR ACES」。


これまた「天体議会」の世界にふさわしいスマートさが感じられるのでは。


こちらはライカ犬のスプートニクと対になる、群青色の「ボストーク」。
キラキラした星、青い月の前で紅の焔をあげて翔ぶロケット。スマートさはありませんが、一種武骨なカッコよさがあります。


スプートニクとボストークのツーショット。

   ★

さて、この辺までは私の勝手な想像ですが、『天体議会』には、ライカの他に、もう1つ固有名を持ったタバコが登場します。それが「帆船(ジャンク」。こちらは銅貨の兄・藍生と、例の謎の少年が愛好しています。

〔…〕彼は背もたれに掛けてあった上衣を手探りし、ポケットから煙草の包みを取り出した。しかし、それは空だったようで、忌々しそうに捩って近くの屑入れへ投げこんだ。
「銅貨、返せよ。帆船〔ジャンク〕、居間の円卓〔テーブル〕の上に置いていたのを、おまえ持ち出したろう。まだ封を切ったばかりだ。」
「知らないよ。ぼくは喫ってない。」(p.83)


〔…〕少年はそう云って淡紫色〔ヘリオトロオプ〕の烟を吐き出した。帆船〔ジャンク〕という名を持つこの煙草の特徴は、うっすらたちのぼる烟が淡い紫をしているところにある。南方への出荷専用で普通に出まわることはないのだが、銅貨の兄はこれをどこかから調達してくるのだった。(p.101)


作者である長野氏が実際に参照したタバコかどうかは不明ですが、現実に「ジャンク」というタバコの銘柄は存在します。下は以前オークションに出され、画像だけ保存しておいたもの(現物は落札しそびれました)。どうやら戦前の中国製のようです。


もっとも、中国帆船をデザインしたタバコは、他にもいろいろあります。
下は青一色刷りのカラーリングが涼しげで、いかにも淡い紫の煙が立ち昇りそうな「民船牌香煙」の包装紙。もちろん、こちらも中国煙草です。


   ★

他にも洒落たパッケージはたくさんありますが、それは足穂やクシー君の話題のところで取り上げた方が良さそうなので、後日に回します。

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