ファーブルのキノコ本2013年11月03日 09時33分43秒



■Claude Caussanel(監修)、Claude Causanel・Yves Delange他(著)
 本郷次雄(日本語版監修)、Toshie, Daniel Guez(訳)
 『ジャン・アンリ・ファーブルのきのこ―221点の水彩画と解説―』
 同朋舎出版、1993

昆虫学者のファーブルはキノコにも関心があり、大量のスケッチを残しています。その作業は1870年代から90年代まで、かなり長いこと続きましたが、中でも1880年代後半から90年代前半、すなわち彼が60代の頃に最も精力的に行われたようです。
その中から200点余りを選び、詳細な解説を施したのが本書で、原著は1991年にフランスで出版されました。


(解説ページ)

これはわりと有名なキノコ本だと思います。
何といっても定価は7万円という堂々たる本です。
外箱の高さは40センチ。大きくて、そしてずしりと重いです。

しかし、その存在感のいっぽう、何か不可解な事情により、この本は出版後間もなく、新品のまま古本屋でたたき売りされる運命に遭遇しました(いわゆるゾッキ本というやつです)。この本が有名になったのは、その価格差も1つの原因でしょう。神田あたりでは実売価格が1万円を切っていた時期もあったと記憶します(今はちょっと古書価が出て、1万5千円から2万円ぐらい)。


だからと言って、これは決して軽んじられてよい本ではありません。
奥付によれば、この日本語版も印刷はフランスで行われており、印刷の品質はフランス語版と同等です。そして、そのフランス語版の古書価は、現在も邦貨で6万~10万円ほどするので、日本の読者はたいそう恵まれていることになります。


   ★

まあ、あまりお金のことを言うのも興ざめですね。
とにもかくにも、ファーブル先生が必死に絵筆を走らせたキノコたちを、こうして大判の図版で楽しむことができることを素直に喜びたいです。