ちょっと気取った彗星ゲーム2014年01月12日 16時29分46秒

天文モチーフのゲームと云えば、現代のものですが、こんな品があります。


Royal Comette: A Courtly Game of Risk and Speculation.
 Oxford Games Ltd., 1996(パッケージサイズ 33.5×26cm)
 人数:3人以上、対象:10歳~大人まで

オックスフォード・ゲーム社は、イギリスのエールズベリー(バッキンガムシャー)にあるメーカー。このゲームは、某所で見かけて以来、ずっと気になっており、思い切ってイギリスから中古品を取り寄せました。


パッケージの裏面に、このゲームの由来が書かれているので、以下適当訳。

1682年のハレー彗星出現後、イギリスの上流階級の間で天文学への関心が高まり、それは宮廷での娯楽の在り方にも広範な影響を及ぼしました。「ロイヤル・コメット The Royal Game of Comette」の名で知られるカードゲームが、英国の宮廷に紹介されたのも、こうした天文ブームの一例です。

1684年までには、ロイヤル・コメットは「ご婦人方も含め…宮廷における最も熱い流行」となっており、ずっと後の1748年になっても依然として愛好されていました(この年に、ゲーム盤を用いる、より複雑な遊び方が流行りだしました)。

当社の「ロイヤル・コメット」は、後代の遊び方が持つ刺激的な側面を総合したものであり、同時に60年以上の長きにわたって王宮をとりこにした、あのオリジナル・ゲームの興奮も備えています。

…というわけで、まったくの新作ではなく、古くからあるゲームをアレンジして復活させたもののようです。

箱を開けて、中身を見てみます。



箱の中には、18世紀の天文図をモチーフにしたゲーム盤(50cm×50cm)、専用トランプ、賭け棒(speculation tokens)、解説書が入っています。ルール解説は、最初から輸出を意識して、英独仏日の四カ国語表記。

こういうのは実際にやってみないと、よく分からないのですが(私はまだやったことがありません)、どうやら「七並べ」や「大貧民」式に、配られたカードを早くなくすこと、それと同時に、役カードを上手に使って、盤上の賭け棒をできるだけたくさん集めることの2つが目標で、最終的に賭け棒のいちばん多いプレーヤーが勝ちというルールのようです。

   ★

結局、彗星も天文も、あまりゲームそのものには関係ないのですが、ハレー彗星がきっかけとなって、17世紀から18世紀にかけて思わぬところに天文趣味が芽吹いたというのが、ちょっと面白いですね。そして、20世紀に復活したこのゲーム自体、なかなか洒落ています。