夏草のさやぐ図譜2014年06月08日 10時12分26秒

涼しげな植物画が届きました。

■Graser's naturwissenschaftliche und landwirtschaftliche Tafel Nr. 16
 Dr. Raschkes Tafel der Wald- und Wasserpflanzen.

独・グラーザー社の「図解・科学と農業」シリーズの第16図、「森林と水辺の植物」。

このシリーズは、鉱物、植物、動物の3界にまたがる自然界のさまざまな対象を大判の図で表したもので、甲虫とか、蝶とか、野鳥とか、愛らしい図がいろいろあります。監修者のRaschke博士の何者たるかは知りませんが、このシリーズの幾枚かは博士が監修しています。


このシリーズは20世紀の初頭から戦後に至るまで、いろいろな判型で出ていますが、手元のものは1920年代頃の品で、ご覧のように「本」の表情をしています。あるいは、これは以前の持ち主が独自に装丁させたものかもしれません(ほかに類例を見たことがありません)。


「表紙」を開くと、薄茶のキャンバス地で裏打ちされた図が折りたたまれています。


全体は93×69cmほどの大判の図で、私の机の上では広げることもままなりません。


床に広げるとこんな感じ(光が届かないので暗い写真になりました)。
身近な野草を科ごとに配列し、それぞれ代表種を1種ないし数種図示しています。登場するのは全73種。

以下、細部の画像。



石版の刷りが美しく、色合いもスッキリしています。



種類よっては部位の拡大図を載せ、またそれぞれ花期が添え書きされています。

   ★

植物はいいですね。
もちろん現実の植物がいちばんですが、こうして絵になった植物もやさしげです。
ひるがえって人間はどうかというと、あまり芳しくない話も聞きますが、でも植物的なやさしさを感じさせる人もいて、この絵図のある部分にそれを強く感じたので、次にそのことを書きます。

(次回につづく)