紳士淑女は理科室風書斎をめざす、かも。2014年07月16日 20時34分42秒

理科室風書斎」という言葉は、これまで「天文古玩」の専売特許でした。
もちろん、本当は専売でも特許でもなくて、そういう言葉を使う必要を、誰も感じていなかっただけのことで、長らく孤独な趣味だったのですが、ついにその言葉が大手を振って流通する日がやってきました。

それは横浜に来年完成する某マンションの広告です(←「理科室風書斎」で検索)。
ディベロッパー側は、物件の高級感をアピールせんがために ―「○○坂に暮らす」というコピーからして、いかにもという感じです ― いくつかのアイテムを提示しながら、このマンションにおけるライフスタイルを提案しているのですが、それは「能」であり、「クラシック家具」であり、「和服」であり、そして「理科室風書斎」なのです。


どうです、今や「理科室風書斎」は、お能と並ぶ、紳士淑女のたしなみなのですぞ!
私も最初見たとき目を疑いましたが、これは結局お金が絡む話ですから、単なる洒落や冗談ではなさそうです。うーむ、それにしても…。

この広告のライター氏は、何となく拙ブログを見られたような気がします。
だからといって、私がそれを勝手にキャプチャーし、勝手に貼りつけていい道理はないのですが、ここは人間相身互いということで、ぜひご納得いただきたい(違っていたらごめんなさい)。

ついでといっては何ですが、その文面もササッと転記しておくと、

「そうはいっても、文学作品をそれほど読み込んでいるという程ではないのだけれど…。でも書斎は欲しい」という方に是非おすすめしたいのが、書斎を少し理科室風にインテリアを整えてみること。

理科少年といえば、地球儀や天球儀、鉱物石や貝殻、昆虫や蝶々の標本などがすぐに思いつきますね。また雰囲気のあるアンティークの薬の瓶や、三角フラスコなどは、割と手軽に雑貨屋さんなどで手に入ります。

かつて少年少女の頃に、理科室の実験道具に心躍らせていた時の事を思い起こして、読書をするのもいいかもしれません。

理科室風書斎を世に知らしめようという「義挙」に対し、あえて突っ込むことはしませんが、しかし最初の一文はちょっと弱さが感じられますね。
理科室アイテムは決して文学作品の代用品ではありませんので、紳士淑女各位におかれましては、ぜひ理科室アイテム独自の価値を認めたうえで、素晴らしい空間づくりに励んでいただきたい。