真夏に肝を冷やす話 ― 2014年07月30日 07時15分54秒
全然スレ違いですが、涼を求める方に、こんな話はどうでしょうか。
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以前、世界中の素敵なライブラリーを紹介しているサイト「Beautiful-Libraries.com:The Most Beautiful Libraries in the World」をご紹介しました。
その後、新しいコンテンツを期待して訪れたら、こんな告知文が載っていて呆然(以下、適当訳)。
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Beautiful-Libraries.comへようこそ。
私はこれまで、世界中の美しいライブラリーの画像を千枚近く集めてきました。その成果をお楽しみいただいた方々に、まことに申し訳なく思いますが、私はもはや当サイトを以前のような形で維持することができません。
我が国の著作権法に照らして、私に共有権が認められていない画像をシェアすることは、明らかに違法だと最近知ったからです。実際問題、我が国の厳格な法令は、Pinterstや、他の多くのフォト共有サイトで画像をシェアをしている何百万人もの人々を、れっきとした犯罪者に仕立て上げています。
私はこれまで画像の出典を(さらに分かれば撮影者名も)明記し、画像のシェアから1円の儲けを得ることもなく、また著作権者から求められれば、即座に画像を削除したり、(誤記や省略があれば)出典の訂正を行ってきました。
しかし、どうやらそれだけでは、手早く和解金を狙う法律ゴロ(?原語はlegal trolls)から我が身を守るには不十分らしいのです。下の記事をご覧ください。
http://www.roniloren.com/blog/2012/7/20/bloggers-beware-you-can-get-sued-for-using-pics-on-your-blog.html
http://www.contentfac.com/copyright-infringement-penalties-are-scary/
そこで私は大きな悲しみをもって決断しました。オンラインでの画像シェアを巡って、徐々に広まりつつある高額訴訟のリスクに、我が身をさらし続けることはもはやできないと。
美しいものを広く他者と味わい、共有したいという思いを挫くために、知的財産法が使われるのは、とても悲しいことです。数年前、私は知財法に関する本〔下記リンクで全頁公開〕を読み、それが自由な社会に不要であるばかりか、むしろ全体として有害であると信じるに至りました(こう言うと、知財法のおかげをこうむっている一部のアーティストや、企業の多くは憤慨されるでしょう。でも、この本が挙げる多くの考え抜かれた論点は、私を十分納得させるものでした)。
http://library.mises.org/books/Stephan%20Kinsella/Against%20Intellectual%20Property.pdf
ひょっとしたら、我々はいつか破産や刑事告発の恐れなしにアイデアを共有できる世界に住めるかもしれません。でも、そういう時代はまだ訪れていません。
無節操な著作権弁護士の被害者とならぬよう、私は皆さんが知財法の乱用について学ばれることを切にお勧めします。ご自身のものである画像を除き、明示的許可を得ていない画像をシェアしていないか、十分用心なさってください。あなたは常に法律ゴロと隣り合わせであり、彼らは最高15万ドルであなたを訴えることができるのです(もっとも、彼らは5千ドルなにがしプラス訴訟費用で、すぐに手を打ってくれますが)。このことは、経済的損害の有無や、それを与える意図の有無に関係ありませんし、あなたが法律の存在を知っていたかどうか、あるいは最初に画像の削除を求められたかどうかも無関係です。「適正使用(Fair Use)」の考えは、インターネット上の画像共有には適用されません。Pinterestのユーザーは、くれぐれもご用心を。
私自身の書斎を写した写真は、左欄の「My Libraries」のページに、また書斎作りについて書いた短文は、「Elements of Libraries」のページに残しておきます。ライブラリーに関するお勧めの記事や書籍へのリンクは、サイトのトップに残してあります。それ以外のページはすべての写真を削除済みです。
悲しみと絶望にくれて― べス
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なんと世知辛いことでしょう。
そしてヒヤッとしました(身に覚えのある方は他にもいらっしゃるはず)。
私は海賊版の横行を是認するわけではなく、著作権を尊重することにやぶさかではありませんが、その一方で牧歌的な大らかさも欲しく、実害(相手が不快に思うことも含めて)がなければ、そう目くじらを立てんでも…と考えるのですが、でも、これがアメリカン・スタンダードであり、世界の大勢なんでしょうか。
まあ、良識の通用しがたい世界も存在するので、やむを得ないのかもしれません。が、それにしても…
(今回の記事は、さすがにべスさんご本人の許可を得ようと思いましたが、すでにCONTACTのページも閉鎖されていて、連絡不能でした。もしべスさんがこの記事をご覧になる機会があれば、ぜひ諒とされんことを。)
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