星降るスタードーム2014年08月02日 14時27分08秒

「これを突沸といふんでせうか。」
「左様ですな。えゝ、まったく突沸に違ひありません。」

…と、漱石先生なら書くところです。どうも4月の異動以来、仕事が突沸する危険性と常に隣りあわせで、まことに身の細る思いです。
そんなこんなで、暑い夏をいっそう暑く過ごしていますが、暦も8月となり、もうしばらくすると、秋の話題をつぶやくことになるでしょう。

   ★

最近の買い物から。


ニューヨークのヘイデン・プラネタリウムのスノードーム。
高さ5cmに満たない可愛らしいドームの中に、澄んだ青い星空が広がり、摩天楼とプラネタリウムが、不思議な景観を形作っています。


スノードームに舞い飛ぶのは、本来は粉雪なのでしょうが、ここできらめくのは星たちであり、ドームはそのままプラネタリウムのドームをイメージしているように思います。

ドームの中央に立つのは、名門・ツァイスⅣ型機
初代のツァイスⅡ型機の後継として、1973年に導入されたものですが、そのシルエットは、先代同様、いかにもプラネタリウムらしい感じです。


横から見ると、ちょっと芝居の書き割りめいた可笑しみがありますが、ある意味、「作り物の星空」という、プラネタリウムの本質が現れているようでもあります。


スノードームの背面。

ヘイデン・プラネタリウムは1935年に開館した、ニューヨークの老舗プラネタリウム。
その名前は、建設資金を提供した、アメリカの富裕な銀行家、チャールズ・ヘイデン(1870-1937)に由来しますが、組織的にはアメリカ自然史博物館の一部門であり、公立のプラネタリウムです。

(戦前の絵葉書に見るヘイデン・プラネタリウム。既出画像ですが、大きなサイズで再掲。)

でも、この重厚な建物も、懐かしい投影機も、今はもうありません。
オリジナルの建物は1997年に取り壊され、2000年にリニューアル・オープンするとともに、機械の方も、最新式のツァイスⅨ型機にとってかわられたからです。

(Hayden planetarium at night. Photo by Alfred Gracombe.
 出典:Wikimedia Commons)

(ハンブルグ・プラネタリウムのツァイスIX型機。卵型の黒いボディは、松本零士さんのマンガに出てくるメカのようです。出典:Wikimedia Commons/Public Domain)

地元のオールド・ファンにとっては寂しいことでしょう。でも、子供たちが目を輝かせてドームを見上げてくれるなら、その方がプラネタリウムにとっては幸せだろうと思います。
(それに、上の写真を見る限り、これはこれでそう悪くない風情です。)

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