チューリッヒのウラニア天文台(補遺)2014年09月30日 19時16分46秒

御嶽山の件、土曜日のお昼のニュースは、「ちょっとビックリ」程度の感じで見ていたのですが、その後、あの荒涼とした灰色一色の光景に言葉を失いました。

広島の豪雨や、さかのぼって3.11も悲しい出来事ではありましたが、御嶽山の場合は、何というか自然の非情さをいっそう感じる出来事でした。
犠牲となった方たちは、みな自然を愛し、山を愛する人たちであったのでしょう。
そういう人たちが、自然の力によって否応なく命を奪われた…

自然は人間の思い入れとは無関係に、それ自身の論理で動いていることは、頭では分かるものの、こういう出来事に接すると、まこと山川草木これ非情なりの感が深いです。

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何となく筆も湿りがちなので、以前の記事のおまけです。
未整理の絵葉書の中に、チューリッヒのウラニア天文台のドーム内の様子を写したものがあるのに気づきました。


キャプションは「チューリッヒのウラニア公共天文台。ドームと大型望遠鏡」とあるだけで、右側のいかめしい人が誰かは不明。
望遠鏡は、近年レストアする前から、白い鏡筒と白い架台のモダンな外観だったことが分かります。この辺はいかにもツァイスという感じです。

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裏面をしげしげ見たら、押してあるのは消印ではなく、ウラニア天文台の記念スタンプでした。

(アルバムから無理やりはがした痕があります。)


この絵葉書は、およそ100年前に、まさにこのドームの中でいっときを過ごしたものである点に、有難味があるような気がします。


ペン書きのメモも、よく見たら英語。観光で訪れた英米の人が、観望記念に絵葉書を求め、スタンプを押したのでしょう。

文字の方は、「1912(1913?)年8月3日 〔こと座の〕ヴェガとはくちょう座を見た」とあって、ちょうど旧暦の七夕のころ、スイスの湖畔の町で、天の川の観望会があったことが知れます。なんとなく涼しげなイメージですが、ヨーロッパ全土には、間もなく大乱が迫っていました。