続・だんだら2014年10月30日 07時00分13秒

昨日のだんだらについて、自助努力で調べてみましたが、依然手がかりはありません。

ここから先は、漠とした想像です。

あのラベルに書かれていた物質は、すべて燐(リン)に関係していました。そして、リンの最大の用途は肥料です。燐灰石もまたその原料であり、そこからリン酸塩が作られ、耕地にまかれます。昨日のだんだらの上部2層を構成する粒つぶは、明らかに工業的に加工されたものでしょうし、現在販売されているリン酸塩肥料とも外見がよく似ています。

というわけで、個々の物質名は不明ですが、あのだんだら模様は、リン系肥料の製造にかかる原材料、ないしその製造過程を表現しており、標本壜全体として農芸化学的な資料に用いられた…というのが、私の推測です。

理科室に置かれていた以上、理科の授業で用いられたのでしょうが、その一部として化学の応用面を語るような単元があって、その際、生徒に示したのかもしれません(旧蔵者は女学校ですから、現代の中学~高校レベルの授業になります)。

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当時(昭和戦前)は、農業の重みが今とは桁違いで、「農業への奉仕者としての科学」というイメージも、今より鮮明な輪郭を持っていたと想像します。
(賢治の存在も、その文脈に位置づけられるんじゃないでしょうか。もちろん、今でも農業が重要なことは変らないんですが、人々がそのことを意識しなくなったのは、危なっかしい話です。)