森の奥へ2014年11月15日 12時28分10秒

花は植物が結婚する褥(しとね)。
しかし、中には花の咲かない植物もあります。
彼/彼女たちは、いったいどこで出逢い、どこで結ばれるのか?

今では、植物とも動物とも異なる「菌類」として独立を果たしたキノコですが、以前は立派な植物の仲間とされ、シダや苔とともに「秘密の結婚式」を挙げる、隠花植物に分類されていました。

隠花植物は横文字だとcryptogamia
文字通り、「秘密の(crypto)+結婚(gamia)」という、ギリシャ語由来の言葉です。

今では菌類や藻類の独立により、隠花植物という概念自体が解体されましたが、この味わい深い語に想を得た、子羊舎さんのイベントが来週から始まります。

CRYPTOGAMIA Ⅱ ―秘密の結婚Ⅱ―
  森奥深く 新緑の和毛 菌類たちの秘密の結婚
〇会期  2014年11月19日(水)~11月30日(日) 10:00 ~ 21:00
〇会場  H.P. DECO 好奇心の小部屋 二子玉川店
       (東京都世田谷区玉川🈪-17-1 玉川高島屋S・C南館4階)
       【MAP】http://www.hpfrance.com/Shop/Map/futakotamagawa.html
〇WEB   http://mistleto.blog.so-net.ne.jp/2014-10-27

 「前回の「Cryptogamia 秘密の結婚」で誕生したきのこたちのその後、愉快なきのこの生活をイメージしたコラージュ展開催します。飾り皿や紙ファイルのセットなどを展示販売します。」(上記ページより引用)

(いただいたDMはがき。背景は川村清一著『原色版日本菌類図説』、昭和4)

キノコはなぜ愛されるのか?

キノコ好きの人にとっては、おいしい食用キノコばかりでなく、危険な毒キノコまでもが魅惑の対象となります。その理由はさまざまでしょうが、子羊舎さんのDMにも見られるように、キノコは擬人化されやすいというのが、大きな理由の1つでしょう。
反対に、人間をキノコにたとえたのが稲垣足穂で、彼は人間を「魚臭いヒトヨダケ」と呼びました。

  頭でっかちのシルエット。
  驚くほどもろいのに、驚くほどしたたか。
  孤独なようでいて、菌根で目に見えぬネットワークを形成する集団性。

まことに人間臭い連中です。
そもそも、おいしい奴と喰えぬ奴がいるところが人間臭い。
そして、喰えぬ奴の方が、往々にして面白かったりするのも人間界と同じです。