博物蒐集家の贈り物(1)…命をはぐくむ形2015年02月02日 06時58分16秒

たびたび書いているイベント「博物蒐集家の応接間」。

自分自身もその場にいたのに、今回はまったく買い物をしませんでした。
これは実に稀有なことで、だいぶ緊張していたのかもしれません。
でも、さりげなく贈り物を頂戴したので、上質な葉巻の香りのような、あの応接間の空気は十分持ち帰ることができました。(改めてどうもありがとうございました。)

まずLagado研究所の淡嶋さんからいただいたのは、多様な「かたち」を見せる自然界のモノたち。


コロコロして稜のある、栴檀(センダン)の種
プロペラからチョコンとぶら下がる、菩提樹(=シナノキ)の種
プロペラ本体の中央に身を隠した、ニワウルシの種
ニワウルシの種は、翼のねじれがまさにプロペラ効果を生み、風を受けて回転しながら飛んで行きます。

いずれも淡嶋さんが地元の京都で採取された、可愛い樹の子供たちです。
こうして私の元に来たことで、大樹になる夢を断たれて無念かもしれませんが、でも京都の秋の日差しを宿して、いつまでも身近にいてくれたらと願います。


これも京都生まれのミツバチの巣板
今回初めて意識しましたが、ハニカム構造の「ハニカム」って、Honeycomb(蜂蜜のくし)と綴るんですね。この元祖ハニカムに、昔の人は驚くべき造化の妙を見て、そこからさらに空間の最密充填のような数学的概念を発展させました。


左側の灰色の巣は、我が家の庭で見つけたアシナガバチの巣。
働き蜂が分泌する「蜜蝋」で作られたミツバチの巣に対して、こちらは樹皮を唾液でこねて作られています。材料は全く違うのに、似たような形のものができる不思議さ。

いや、上の最密充填の問題を考えれば、これは偶然ではなく必然なのかもしれませんが、その「最適解」を別工法で実現するに至った進化の妙は、やはり不思議と言わざるを得ません。

(この項つづく。次回はdubhe(ドゥーベ)さんからの贈り物)

コメント

_ Terasawa ― 2015年02月02日 11時13分40秒

酔っぱらいです。先日はお疲れ様でした。天文さんを始め様々な方との交流が出来、素晴らしい時間を過ごせました。
次の日、名古屋市科学館に行ったのですが、天文分野以外にも興味深い展示が沢山ありました。
特に資料室では本との出逢いが沢山あり、奇本珍本を吟味できました。
いやはや、眼福眼福ガンギエイ。

_ 玉青 ― 2015年02月02日 21時03分39秒

先日はいろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
あの後帰ってから確認したら、例の図譜はやっぱりゲランでした。
かつて荒俣さんは、博物図譜の「たくまざる幻想性」をよく語っていましたが、あの図譜もまさにその好例なのでしょうね。そこに説明が一切ないために、見る者の想像力がいっそう掻き立てられる感じです。
ガンギエイの姿を眺め(時には味わい)ながら、人間の想像力と自然の想像力の比較を試みるのも乙なもので、そこに酒精の霊薬が加わればなおさらですが、でもお酒もほどほどに…。(笑)

_ Terasawa ― 2015年02月02日 22時18分46秒

あれだけ知った風に明言したので、玉青さんからゲランと聞けて安心しました 笑

「たくまざる」ですか。そうかもしれませんね。宗教的な、寓意的な雰囲気も感じられませんし。「すべては目のために、目と心の娯しみのために」でしょうか。

ゲラン「背景とか付けた方が何となく「っぽい」じゃん?」

_ 玉青 ― 2015年02月03日 06時56分02秒

>目と心の娯しみ

まさに博物学の本質ですね。共に娯しみを味わわんことを―。

_ Lagado研究所 淡嶋 ― 2015年02月04日 03時41分51秒

玉青さん、久しぶりにお会い出来てとても楽しかったです。
また、近々お伺いしたいです。
その時はどうぞよろしくお願いします。

_ 玉青 ― 2015年02月04日 19時46分27秒

しばらくぶりにお会いできて嬉しかったです。
淡嶋さんの変わらぬ笑顔に接して、心がホッとなごみました。
そして、素敵な贈り物をどうもありがとうございました。
さっそく棚の一角に置かせていただきました。
それをご覧に、またぜひお越しください。

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