カテゴリー縦覧…星座早見編:古くて大きな星座早見2015年02月22日 09時32分43秒

改めて周囲を見回すと、これまで星座早見をずいぶん買いました。
別に星座早見コレクターではないので、系統立ったコレクションには全然なっていませんが、それでも数が増えた理由ははっきりしています。すなわち、値ごろ感があるために、ついつい買ってしまうからです。

いくら天文アンティークが好きと言っても、オーラリーや天球儀をバンバン買うわけにはいきません。でも、20世紀初頭ぐらいの星座早見だったら、数千円~1万円台ぐらいで出物があるので、資力が乏しくても何とか買えます(ヤフオクだと、尋常でない価格を付けている業者を見受けますが、本来の相場はそんなにするものではないです)。もちろん、それだってバンバン買えるわけではないですが、時おり買うだけでも、長年のうちには自ずと溜まってきます。

そして、資力が乏しいからこその出会いもあります。


例えば上の星座早見は、アメリカのWhitall社のものです。1850年代と、時代も相当あるし、大きさは約40cm角と、最近の早見盤よりずっと大きくて、堂々としています。星座早見としては、まず珍品の部類と言っていいでしょう。

(Carole Stott, CELESTIAL CHARTS: Antique Maps of the Heavens.  1995)

ただし、↑同じ品が本に載っていますが(※)、パッと見分かるように、私が買ったものには、星の見える範囲を示す「窓」のパーツがありません。それがなければ、星座早見として用をなさないので、これは致命的な欠陥です。その上、全体が煤けており、周囲のいたみもはげしく、保存状態は非常に悪いです。


筋金入りのコレクターは、こういう傷物にあまり手を出さないので、それをためらわずに買えたのは、私が貧しいからこそです。それに、「窓」がないおかげで、星図全体を一望できるのは、考えてみたら長所かもしれません。



なんだか自慢話にしては、すいぶん貧乏くさい自慢ですが、この珍品を3千円ちょっとで落札したのは、我ながら上出来で、多少の慢心は自ら許したいです。貧者に幸あれ。


(手彩色の星座絵が優しい印象)

   ★

ところで、この星座早見を見て、気づいたことがあります。

英語の「planisphere」は、今ではもっぱら星座早見の意味ですが、語源的には「平らな天球」、すなわち「天球図」の意味で、フランス語では今でもそうです。それが星座早見の意味に転じたのは、おそらく「movable planisphere」(可動天球図)の略から来ているのでしょう。

となると、星座早見の本質はやっぱり「星図」であって、星座を探すデバイスとしての機能は、あくまでも付随的なもの…と言えるかもしれません。

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(※) Stottの本に載っているホイットオールの星座早見と、手元のそれをじっくり比べたら、出版社の住所表示が違っていました。本に載っている方は、「Duane Street 108番地」であるのに対し、手持ちの品は、同じニューヨークでも「Walker Street 46番地」と印刷されており、今検索したら、前者は1856年、後者は1857~1858年の住所だそうです。まあ若干時間のずれはありますが、モノとしては同じと言ってもいいでしょう。

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