地上の銀河…カテゴリー縦覧:銀河編 ― 2015年04月01日 22時19分02秒
いよいよ4月。今年も既に4分の1が終わりました。
そして今月の末には、「もう3分の1が終わった!」と驚くことになります。
そして今月の末には、「もう3分の1が終わった!」と驚くことになります。
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手元に明治7年(1874)に売り出された、古い地球儀があります。
それを見ていたら、この地球上に銀河が流れているのを見つけました。
「リオデラプラタ 銀河」。
今でいうところの「ラプラタ川」を、かつての日本では「銀河」と訳していました。
今でいうところの「ラプラタ川」を、かつての日本では「銀河」と訳していました。
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遠い昔、ジパングは黄金の島と呼ばれ、ヨーロッパ人の想像力を掻き立てました。
その後、大航海時代の訪れとともに、今度は南米アマゾンの奥地に「エル・ドラード(黄金郷)」があるという噂が立ち、スペイン人による探検(という名の侵攻)を加速しました。
その後、大航海時代の訪れとともに、今度は南米アマゾンの奥地に「エル・ドラード(黄金郷)」があるという噂が立ち、スペイン人による探検(という名の侵攻)を加速しました。
同じ頃、それと対を成すかのように、南米の内陸部には「白い王」が支配する、「シエラ・デ・ラプラタ(銀の山々)」があるのだ…という噂もありました。もともと現地にその種の言い伝えがあったところに、いろいろ尾ひれが付いて肥大化した噂のようです。
そして、そこからアルゼンチンの国名が起こり(ラテン語の「argentum(銀)」に由来)、またラプラタ川(スペイン語でRio de la Plata、英語に直訳すれば River of Silver)の称も生まれたということです。ちなみに命名者は、イタリア系イギリス人にして、ユダヤの民、そしてスペイン王に召し抱えられて南米を探査したという、ややこしい経歴のセバスチャン・カボット(c.1474-1557)。
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…というわけで、地上の銀河には、少なからず欲が絡んでいます。
その点、天上の銀河は純なものですね。
でも、人間の欲には限りがないので、未来永劫そうかどうかは分かりません。
その点、天上の銀河は純なものですね。
でも、人間の欲には限りがないので、未来永劫そうかどうかは分かりません。
コメント
_ S.U ― 2015年04月02日 19時24分35秒
_ 玉青 ― 2015年04月03日 21時52分33秒
>天河
よくぞご記憶くださいました。ええ、その点は真っ先にチェックしましたが、残念ながら何のヒネリもなく、「アマゾン川」と表記されていました。
>銀島
Isla de Plata …あの「白銀の大地」を考えると、まさにピッタリですが、しかし、この「北海道」は微妙ですねえ。しっかり諸説に目を通していませんが、何となく、金銀を産した佐渡の噂に、これまた尾ひれが付いて巨大化したような気もします(東日本がほぼ完全に欠落しているのに、その先にある北海道だけしっかり描き込まれているのは、条理に合わない感じがします)。
よくぞご記憶くださいました。ええ、その点は真っ先にチェックしましたが、残念ながら何のヒネリもなく、「アマゾン川」と表記されていました。
>銀島
Isla de Plata …あの「白銀の大地」を考えると、まさにピッタリですが、しかし、この「北海道」は微妙ですねえ。しっかり諸説に目を通していませんが、何となく、金銀を産した佐渡の噂に、これまた尾ひれが付いて巨大化したような気もします(東日本がほぼ完全に欠落しているのに、その先にある北海道だけしっかり描き込まれているのは、条理に合わない感じがします)。
_ S.U ― 2015年04月04日 06時30分35秒
>金銀を産した
なるほど、こりゃ佐渡ですか。佐渡の金銀鉱脈の発見時期は諸説あるようですが、昔のことですから、ウワサが伝説となって飛んだり、石見が佐渡に飛んだりするくらいのことは平気でしょうね。
>北海道だけしっかり描き込まれているのは、条理に合わない
同時代の世界地図では北海道はおおむねはっきりせず、カッキリとした島に描かれるのは、日本製の地図で1700年頃、西洋の地図では伊能忠敬からほとんど遡らない18世紀後半からのようです。ですから、オルテリウス太平洋図では、「これは北海道」と自信を持って言えるレベルには到底到達しておらず、北海道だとすると、まぐれ当たりか極秘情報ということになるでしょう。
なるほど、こりゃ佐渡ですか。佐渡の金銀鉱脈の発見時期は諸説あるようですが、昔のことですから、ウワサが伝説となって飛んだり、石見が佐渡に飛んだりするくらいのことは平気でしょうね。
>北海道だけしっかり描き込まれているのは、条理に合わない
同時代の世界地図では北海道はおおむねはっきりせず、カッキリとした島に描かれるのは、日本製の地図で1700年頃、西洋の地図では伊能忠敬からほとんど遡らない18世紀後半からのようです。ですから、オルテリウス太平洋図では、「これは北海道」と自信を持って言えるレベルには到底到達しておらず、北海道だとすると、まぐれ当たりか極秘情報ということになるでしょう。
_ 玉青 ― 2015年04月04日 11時29分08秒
仮にこれが佐渡だとすると、人間の欲望の大きさというものを、実に雄弁に物語っていますね。嘆かわしいことですが、一面の真理が露呈しているとも言えます。
それにしても、16世紀の日本人は、南蛮・紅毛の人に教えられて、世界の大要は知っていたのに、すぐそばの北海道のことは分かってなかったんですね。
それにしても、16世紀の日本人は、南蛮・紅毛の人に教えられて、世界の大要は知っていたのに、すぐそばの北海道のことは分かってなかったんですね。
_ toshi ― 2015年04月07日 16時05分52秒
お久しぶりです.この地球儀は状態がいいですね.球径は13cmくらいでしょうか.
_ 玉青 ― 2015年04月08日 07時11分52秒
その後ごぶさたしております。
この地球儀は本当にミニサイズで、球径は約11センチです。
明治初めの地球儀ブームに乗って作られた量産型と思いますが、地図自体はわりと真面目に作られている印象を受けます(1か所ベコッと凹んでいて、状態はさほどでもありません)。
この地球儀は本当にミニサイズで、球径は約11センチです。
明治初めの地球儀ブームに乗って作られた量産型と思いますが、地図自体はわりと真面目に作られている印象を受けます(1か所ベコッと凹んでいて、状態はさほどでもありません)。
_ toshi ― 2015年04月08日 21時15分04秒
そうですか.私も水口龍之介校正の10cmほどの地球儀を持っているのですが,版元が違っています.状態はいまひとつ.
明治7-8年に地球儀が大阪を中心に各種製造されたようです.文部から小学校での地理教育に関する発布があったのでしょうね.
明治7-8年に地球儀が大阪を中心に各種製造されたようです.文部から小学校での地理教育に関する発布があったのでしょうね.
_ 玉青 ― 2015年04月09日 07時22分37秒
この地球儀を見ていると、文明開化華やかなりし頃に思いが飛びます。
やたら赤色の目立つ、「明治錦絵」の世界と言いますか。
当時、初学者向けの地球儀教授書が何冊も出ましたが、あの素朴な情緒はなかなか捨てがたく、こうして書いているうちに、記事にも登場させたくなってきました。いずれぜひ。
やたら赤色の目立つ、「明治錦絵」の世界と言いますか。
当時、初学者向けの地球儀教授書が何冊も出ましたが、あの素朴な情緒はなかなか捨てがたく、こうして書いているうちに、記事にも登場させたくなってきました。いずれぜひ。
_ toshi ― 2015年04月09日 21時18分57秒
楽しみですね🎵
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そういえば、古い西洋の地図で、北海道が「銀島」のがあったと思って、調べてみますと、1589年のオルテリウス太平洋図でした。でも、地図がいいかげんすぎて本当に北海道かもわかりません。スペインが日本侵略を企み、秀吉がバテレン追放令を出した時代に地図がいいかげんなのは意外でした。