Metaphysical Nights…カテゴリー縦覧:フープ博士 etc. 編2015年04月20日 19時59分09秒

メタフィジカル・ナイツ。
形而上学的夜


たむらしげるさんは、透明感を全体の基調としながら、ほのぼのした作品や、上品でお洒落な作品など、いろいろな趣の作品をこれまで生み出してきました。
中でも私が最も魅かれるのが、「硬質な幻想味」を追った作品群です。
1990年に出た、この大判の画文集(28.5×26cm)は、その代表といえるものでしょう。


見開きで、左側には余白をたっぷり取ったショートストーリー、


そして右側にはモノクロのCGイラストが載っています。
あえて色を排したことにより、ぼんやりとした夢の世界を覗き込んでいるような感覚が、いっそう強調されています。


長大な振子の往還とともに世界の誕生と発展を目撃する男の物語、「振子」。


不思議な建物群と、その間を通過する、アルタイルから帰還した宇宙船。
その美しい光景が、次の瞬間には古生代の海に変化する「宇宙船の帰還」。

」、「砂漠の月」、「土星と環」、「水壁」…と、不思議な絵物語は続きます。
これは真夜中の静寂の中で、ゆっくりと、息をひそめて読むのがふさわしい本です。

   ★

版元は架空社。この本にとって、これ以上ないぐらいピタリとくる名称です。
ひょっとして、ブックデザインの一部として、この本のために仮構された出版社じゃないか…と思えるぐらいですが、ちゃんと実在する会社です。

   ★

ところで、久しぶりに本のページをめくっていたら、南伸坊さんが書いたライナーノーツが挟まっているのに気づきました。で、その内容から、またいろいろなことを考えさせられたので、稿を改めて記事を続けます。

(この項つづく)

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