高山植物のトランプ…カテゴリー縦覧「玩具・ゲーム」編2015年07月25日 17時39分35秒

そういえば(最近、この書き出しが多いですね)、私も忘れていましたが、先月の初めまで「カテゴリー縦覧」というのを続けていました。

左欄外に表示されている、このブログのカテゴリーの順番に沿って、「天文古書、天文台、星図…」という順に記事を書き連ねるという、一種の文章修業(?)みたいなものです。それが足穂の「星を売る店」の続き物がはさまったために、中断していました。

中断の時点では「版画・エフェメラ・切手」まで来ていたので、続きは「玩具・ゲーム」からです。今日がその再開第1回。

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昨日、高山植物の話題が出たので、今日も涼を狙って高山植物を登場させます。


ドイツの愛らしい高山植物のトランプ。

「トランプ」と言っても、いわゆるハートやスペードのトランプではなく、日本で言うところの「仲間集めゲーム」用のカードです。カードサイズも高さ12cmと、通常のトランプよりかなり大ぶりです。

同じようなゲームは各国にありますが、ドイツでの呼び名は「Quartett(カルテット)」。ルールはいろいろバリエーションがあるようですが、要は配られた手札を互いに交換しながら、4枚1セットの役を作っていくゲームです。


カルテットの絵柄は千差万別で、ドイツでは過去から現在に至るまで、無数の種類が作られました。遊びながらお勉強もできる…というのが、根強い支持を集めている理由でしょう。もちろん天文モチーフのものもいろいろあって、それらはいずれ「星座トランプ」の話題のところで、まとめて紹介したいと思います。


で、今回のテーマは高山植物。題して「アルプスの花々」。

カードは12のカテゴリー、各4枚の計48枚から成っており、そのカテゴリーは分類学的視点ではなく、砂礫地とか、岩場とか、森の中とか、生育地別のいわば生態学的視点を取り入れたものになっています。


印刷はオフセットの網版ではなく、まだクロモリトグラフなので、おそらく1920年代か30年代の品で、遅くとも50年代を下ることはないでしょう。

…と思って改めて調べてみたら、版元のRavensburger社は1883年創業のゲーム・パズルの老舗で、そのロゴを見ることで年代が特定できるそうです。しげしげ見たら、このトランプは確かに1926年~36年の間に出たものでした。

(ラーヴェンスブルガー社のロゴ一覧。独語版Wikipediaより)

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それにしても(この書き出しも多いですね)、涼を求めての高山植物ですが、さすがのエーデルワイスも、この熱帯のような日本の夏には勝てず、エアコンなしでは、そよとも涼感がありません。高山植物を低地で栽培するのは、なるほど困難なわけです。


氷河期の終焉とともに高山帯に追いやられた高山植物たちですが、今後ますます温暖化が進んだら、いったいどうなってしまうのか。
彼らが姿を消した後、今ある「高原の植物」あたりが、新たな高山植物になるんでしょうかね。