芸術植物園…カテゴリー縦覧「ヴンダーショップ・イベント」編2015年08月17日 13時28分44秒

今日は夏休み。
昨夜の驟雨と、日が陰ったのとで、暑さも一服のようです。
夏の疲れを癒やすのに、ちょうどよい中休みです。

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庭にも、お宮にも、雑木林にも、今は植物がみっしり茂って、こういう雨上がりの日には、草木の匂いが強く鼻をうちます。

(かつて庭だったもの)

園芸趣味の人を除けば、植物のことを四六時中考えている人は少ないかもしれませんが、植物と人間のかかわりは深く、長く、今後も絶えることはおそらくないでしょう。

植物は常に身近にあって、その気になれば、いつだって彼らの声なき声に耳を傾けることができます。(仮に鉢植えのない家でも、冷蔵庫にはたいてい植物が入っているでしょう。そして、いつまでに使い切るべきか、その声なき声に耳を傾けているのではありますまいか。)

植物の姿は、それ自体、自然が手がけた秀逸なデザインですが、人は古来その姿を懸命に写し取って、身の回りを彩ってきました。そういう造化の神の模写、さらには「二次創作物」を集めて、改めて植物と人間のかかわりを見直そうという展覧会が、現在、名古屋の愛知県美術館で開かれています。

(イベント公式サイト http://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/index.html

■芸術植物園 Between Botany and Art
○会期 2015年8月7日(金)―10月4日(日)
     月曜休館(9月21日(祝)は開館、9月24日(木)は臨時休館)
     10:00-18:00 金曜日は20:00まで
○会場 愛知県美術館 (愛知芸術文化センター10階)
     名古屋市東区東桜1-13-2   TEL 052-971-5511
     最寄駅 地下鉄東山線・名城線 栄駅
     MAP → http://www-art.aac.pref.aichi.jp/info/index.html

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本展覧会のタイトルは「芸術植物園/Between Botany and Art」ですが、「芸術」と並ぶもう一方の主役は「科学」です。

 「古来、わたしたち人間は、食物や薬として有益な植物と有毒で危険な植物とを取り違えないように、身近な植物の特徴を調べ、分類し、それを絵や図に残してきました。さらに時代を経て、より広い世界の植物を目にするようになると、この世に存在するあらゆる植物を網羅して、一定の基準に従って整理しようという欲求が生まれます。
このような科学的な目線のかたわらで、植物は生命力に満ちた存在として、あるいは季節の移ろいを感じさせる風物として、その時々の芸術のなかに独自の表現を生み出してきました。科学と芸術、植物のこれら二通りの描き方は、時に反発し合い、時に混じり合いながら、お互いの表現をより豊かなものにしてきたのです。」 (主催者による解説文抜粋)

したがって、ここでいう「botany」は単に「植物」の意味ではなく、学問としての「植物学」の意味を込めているのでしょう。そういうわけで、この展覧会には、東西の博物図の展示が大量に含まれています。有名どころでは、ソーントン『フローラの神殿』ツュンベリ『日本植物誌(フローラ・ヤポニカ)』飯沼慾斎『草木図説』…などなど。

理科趣味・博物趣味に惹かれる人には、これらも見逃せぬところです。



うまい具合に、チケットが回ってきたので、夏が終わる前に一度行って来ようと思います。(なお、本展は愛知県美術館の単館企画で、今後の巡回展はないそうです。)

(案内チラシ裏面より)