天体観測図鑑2015年09月25日 15時47分57秒

雨に濡れた金木犀が強く匂う日。

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きらら舎(実店舗はCafé SAYA)のSAYAさん、「ささきさ」のTOKOさんという、創作家おふたりのユニット「ルーチカ」(http://stelklara.net/ruchka/)。
両氏の想像力と手わざが生み出したオリジナル商品の数々は、理科趣味という、一種捉えどころのないものに、明確な輪郭を与えたものと感じます。

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そのラインナップのひとつ、「ルーチカの自由研究的小冊子」と銘打った「ルーチカ図鑑」シリーズについては、以前もご紹介したことがあります。


今夏、その最新号である「天体図鑑」編が出版されました。


テーマにふさわしい深い紺の表紙が印象的です。
下の月面図は内容の一部。

主に文章はSAYAさん、イラストはTOKOさんが担当されて、序文のあとは「惑星」、「月」、「銀河鉄道の星探し」、「天体観測」、「天体観測博物誌」、「ルーチカ天体観測辞書」と章節が続きます。30ページほどのブックレットですが、中身は濃いです。

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今回、ルーチカ図鑑をご恵与いただいたのは、上の図版ページを作成されるに際し、少し画像提供に協力したのと、


「天文博物誌談義―地学準備室にて」という駄文を載せていただいたからです。


そのおかげで、思いがけずこんな素敵な品まで頂戴して、これは役得以外の何物でもありませんが、多難な世を歩む折節、たまにはこういうことがあっても許されるでしょう。

頂戴したのは、星座早見型のメッセージカード(ちゃんと星座早見として使えます)と半透明の封筒をセットした「星座早見手紙」2種と、それぞれ星座と人工衛星・探査機をプリントしたマスキングテープ2種。

いずれもルーチカ購買部http://kirara-sha.com/ruchka.html)で購入可能です…と書こうとして、改めて確認したら、「天体図鑑」以外は売り切れでした。

となると、これはますます役得で、こういうことで浅薄な笑みを浮かべると、不快に思われる方もいるでしょうが、重ねて申しますが、長い人生、たまにはこういうことがあってもいいのです。

コメント

_ S.U ― 2015年10月11日 18時47分00秒

この玉青さん作の「談義」が読みたくて、ルーチカ図鑑をきらら舎さんから取り寄せました。

 いいですね。高校時代に物理の実験準備室で、実習助手の先生と古い実験道具をいじりながら話をしたことを思い出しました。

 ルーチカ図鑑は不思議な図鑑ですね。これだけの厚さしかなくて、確かに初心者向けなんですが、これだけの知識をつめこんで天文談義をしたら、もうただ者ではない、って感じになるでしょうね。

_ 玉青 ― 2015年10月12日 09時22分02秒

いやあ、これは恐れ入ります。
とこさん、SAYAさんのこだわりの世界をどうぞお楽しみくださいませ。
ときにS.Uさんは、私が純粋な空想で書いたのと似たリアルな体験がおありなのですね!
驚くと同時に羨ましいです。私もそんな学校時代を過ごしたかった…

_ S.U ― 2015年10月12日 15時20分06秒

 おぉ、羨ましがっていただいて・・・こちらこそ恐れ入ります。
 私の場合は「物理部」の部活動だったので、玉青さんのご作品のような骨董品談義があったか記憶がはっきりしません。木製の器具の溢れる物理準備室で実験器具の使い方、作り方を物理の先生と実習助手の先生に教えてもらったことは確かです。特に実習助手の先生は物理ではなく農業が専門で(農業科はありませんでしたが)昔からのものつくりの方法などを教えてくれました。
 そういえば、この先生方や部活の生徒は、けっこうスチームパンク的な物を拵えて楽しんでいました。一見、物理の本筋から離れた、たわいのないような活動でしたが、今から思うとこれこそ本筋の貴重な日々だったかも知れません。

 ところで、話はがらっと変わって、今朝ラジオで聞いた情報からです。私には名前も知らない人なのですが、日本の昆虫採集ブームに火をつけた昆虫学者、加藤正世のコレクションの展覧会を練馬区でやっているそうです。

2015/10/1(木) ~ 2015/11/29 (日) 石神井公園ふるさと文化館 / 企画展示室
平成27年度特別展「蝉類博物館-昆虫黄金期を築いた天才・加藤正世博士の世界」

 玉青さんはすでにご存じかもしれませんが、たまたまそんな人がいたことを知って嬉しかったので、ご紹介しました。加藤正世について調べようと思ってWikipediaを見ると、日本語ページはなく、英語ページだけがありました。そういう人もいるのですね。玉青さんもかつて図鑑の紹介で取り上げていらっしゃいました。

_ 玉青 ― 2015年10月13日 06時46分22秒

いい話ですねえ。
農業専門というあたり、実習助手の先生はなんだか賢治さんみたいですね。
文句なしに貴重な日々だったことと思います。

展覧会のお知らせをありがとうございます。
加藤正世氏は、戦前から戦後にかけて、石神井公園のそばに私設研究所を設けて研究されていたので、今回の催しはいわば里帰り展ですね。実に意義深いことです。
氏は長く在野の立場で昆虫趣味の育成に努められた、いわば昆虫界の野尻抱影のような人ですが、昆虫界には野尻抱影みたいな人がたくさんいたので(笑)、「独立峰」という感じでもないですね。その辺が天文界と昆虫界の違いでしょう。(アマとプロの装備の差が天文学よりはるかに小さかったので、昆虫学の方がよりアマチュアに開かれた学問であった…と言えるんじゃないでしょうか。)

>日本語ページはなく、英語ページだけ

これもすこぶる意外ですが、国内でだけ褒めそやされるよりも、かえって誉れかもしれませんね。

_ S.U ― 2015年10月13日 20時12分43秒

>石神井公園~野尻抱影みたいな人
 この都内とも多摩の田舎ともつかない境界付近から発信したというのが、少年少女への普及のためによかったではないでしょうか。
 野尻抱影も甲州の山中だけでなく、都心からも星を見るように呼びかけたことが大きかったと思います。

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