暗い日2015年09月26日 13時35分42秒

世間の動きとは別に、気ままにモノを買うことは続いています。
しかし、そんな日々の買い物にも、その時々の思いは自ずと反映するものです。


先日届いたガラス製のステレオビュー(19世紀イギリス製)。

普通のステレオ写真は紙焼きですが、これは幻燈スライド風の画面を左右に並べて、光にかざして眺めるようにできています。
なぜこういう手の込んだことをするかといえば(製造費も輸送費も、紙焼きよりずっと高くついたはずです)、同じ絵柄でも、反射光で見るのと透過光で見るのとでは、印象がかなり異なり、それによってリアリティが増したり、モノによっては幻想味が濃くなったりするからではないでしょうか。

―とはいえ、これも今では省みられることのない、過去の視覚玩具に過ぎません。


この朽ち寂びた風情が、今の気分にとてもしっくりきます。
今の私は、いささかデカダンスの気分に流されているのでしょう。

   ★


そこに写っているのは、これまた陰鬱な情景です。
黒い雲に太陽が呑み込まれる寸前の光芒。
これはまさに透過光向けの画題で、この光と影のニュアンスは、反射光ではよく味わえないでしょう。

見かたによっては美しいとも、壮麗とも見えるかもしれませんが、今の私にはひたすら昏く寂しい光景に見えます。でも、その暗さこそが、大いなる慰藉を与えてくれます。