陽は西より出でて東に没する2016年01月21日 22時41分39秒

(昨日のつづき)

昨日のように考えると、ある日・ある時刻に、円環が地球上のどこに位置しているかは、あまり深い意味を持ちません。なぜなら、黄道が埋め込まれているのは、あくまでも天球であって、地球ではないからです。そして、地球と円環の位置関係は、地球の自転によってめまぐるしく変わるからです。

ただ、次のようにさらに想像を広げると、円環(黄道)と地球上の特定の地点は、不可分の関係性を帯びてきます。
それは、地球があるとき突然自転をするのをやめたら…と想像することです。

(画像再掲)

日本が夏至の日の真昼を迎えた頃、地球の自転がピタッと止まったとします。
こうなると、昼も夜もなく、太陽は24時間輝き続け、日本は灼熱地獄と化します。

季節が7月になり、8月になり、太陽は少しずつ高度を下げていきますが、依然空に浮かびっぱなしで、9月下旬のお彼岸を迎える頃、ようやく太陽は東の地平線に没します。(太陽が日周運動をせず、年周運動だけだったら、それは黄道上をじりじりと西から東と動いていきます。)

日没の後は、長い長い夜の始まりです。
太陽は半年かけて地球の裏側を舐めるように移動し、その間、日本は真っ暗な酷寒の季節を経験します。

そして3月の春分の日に、再び太陽は西の地平線から顔を出します。

地球の自転が失われ、公転だけが残れば、この円環は太陽が地球を直射するポイントを結んだもの(すなわち黄道の真下)を表わすことになり、この経路上を、1年かけて太陽が悠然と―いささか不遜とも思える態度で―移動していく様が、まざまざと思い浮かびます。

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まあ、こんなふうに夢想にふけったところで、得るものは少ないですが、こんな簡単な道具一つで雄大な気分を味わえるなら、実にリーズナブルなものです。