回る世界地図(後編) ― 2016年01月27日 22時44分19秒
さて、表紙を開くと出てくる、これが「回る世界地図」の本体です。
冒頭には「標準時・世界の昼と夜 日出日入時刻などはどのように移り変わるか」とあります。先日のアストロラーベ風世界地図が、太陽の南中高度の経年変化を示すものだったのに対し、この「回る世界地図」は、昼夜の境界の変化と、日の出・日の入り時刻の変化を視覚的に示すものです。
(「太陽は地球と人間にどんな約束を与えているか」)
下方から照らす太陽。
その光を受けながら、世界地図盤が、北極を中心にクルクル回るようにできています。
その光を受けながら、世界地図盤が、北極を中心にクルクル回るようにできています。
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中央部を拡大してみます。
上の赤線は夏至の日の昼夜境界線、下の黒線は冬至の日のそれです。
両者は赤道上で交わり、南半球に行くと北半球とは昼夜の長短が逆転することが分かります。
両者は赤道上で交わり、南半球に行くと北半球とは昼夜の長短が逆転することが分かります。
また、この2本の線に挟まれた円を画像に描き込むと↓、ちょうど瞳のように見えますが、これが北極圏です。
この円内では夏至になれば1日中日が沈まない白夜、冬至になれば1日中太陽が昇らない極夜の季節を過ごします。
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さらに拡大。
細かい数字を振った線分がたくさん描かれています。
赤い線分は1~6月の日付に対応し、黒い線分は7~12月の日付に対応しています。
これが「日出線」です。同じように地図の右側には「日入線」が描かれていて、この両者を使って、年間の日の出・日の入り時刻を読み取ることができます。
赤い線分は1~6月の日付に対応し、黒い線分は7~12月の日付に対応しています。
これが「日出線」です。同じように地図の右側には「日入線」が描かれていて、この両者を使って、年間の日の出・日の入り時刻を読み取ることができます。
具体的な使い方は上図の通り。
盤をくるくる回していると、同じ日本の国内でも、日の出・日の入り時刻は所によって変わることが、実感できます。
盤をくるくる回していると、同じ日本の国内でも、日の出・日の入り時刻は所によって変わることが、実感できます。
その仕組みからして、日の出・日の入りの時刻を正確に知ることができるのは、日本国内に限られますが、この線分を目安にして、昼夜境界線が1年を通じて南北を行ったり来たりしている様を、窺い知ることができます。
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先に、この回る世界地図を「駄菓子」と呼びました。
しかし、これを単なるアイデア先行の品と思ったのは、私の不明で、仔細に見ると、これは実によくできています。そこに盛られた情報も豊富かつ正確ですし、きっと考案者の松本氏は、非常に真面目な、教育者肌の人だったのではないでしょうか。
(著者による「まえがき」)
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一つ気になるのは、この「回る世界地図」の版元・霞ヶ関書房の名が、オカルト系奇書の版元として有名な会社と同名であることです。よもや『高天原論究』や『鎮魂法の実修』を出している会社と同じではなかろうと思うのですが、真相は不明です。
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