Starry Heaven2016年02月19日 19時59分25秒



これまで天文古書をずいぶん見てきました。
でも、表紙をかざる星の多さで、この本は群を抜いています。
まったく、これほど星をちりばめた本がかつてあったでしょうか。

Richard A. Proctor
 The Expanse of Heaven.
 Henry S. King & Co. (London), 1874(第2版)


黒い山並みの上に広がる青い空と金の星。
この本のタイトルは『広大な空』とか『大いなる天空』と訳せるでしょうが、まさにそんなイメージです。さらに背表紙には鋭い三日月まで顔を覗かせて…


著者のリチャード・プロクター(1837-1888)は、19世紀イギリスの代表的な天文啓発家で、生涯にいったい何冊の本を書いたのか、おそらく50冊は下らないと思いますが、とにかくポピュラー・アストロノミーの分野では大家の一人です。

本書は副題を、「A Series of Essays on the Wonders of the Firmament (天空の驚異に関するエッセイ集」といい、身近な月・惑星から遠い銀河まで順に取り上げて、一人称“ I ”で、読者に語りかけるように綴った天文随筆集(…と、さも読んだかのように書いていますが、内容は未読です)。


ただ、このブックデザインに惹かれて購入を思い立った人のために一言注意を喚起しておくと、本書の中身は字ばっかりで、口絵(ガリレオっぽい天文学者の肖像)以外、挿絵はありません。

やや「表紙倒れ」の感がありますが、文章よりも挿絵を楽しみに、勝手に期待感を高める方が間違っているよ…と言われればその通りで、プロクター氏にとっては迷惑な話でしょう。

コメント

_ S.U ― 2016年02月20日 08時48分54秒

おぉ、これは、本の中の挿絵に載せるべき星々が全部表紙に流れていったという趣向でしょうか(笑)。
 そのぶん、中身はプロクターさんの個人の思いの詰まった作品なのでしょうね。

_ 玉青 ― 2016年02月20日 17時53分12秒

たしかにそんな感じですねえ。
天文書で文中に挿絵がまったくないのは珍しいですが、プロクターは自分の筆一本で読者を惹きつける自信があったのでしょう。

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