琥珀色の時間 ― 2016年03月04日 20時07分10秒
久慈で産出した未加工の琥珀原石。
これは以前、東急ハンズで買いました。たぶんハンズは、久慈で唯一琥珀の採掘を続けている上山(かみやま)琥珀工芸店さんから仕入れたのでしょう。
一昨日の地質図に付属する解説書(昭和37年=1962発行)には、琥珀のことがこう書かれていました。
「琥珀 久慈の陸薫(くりのご)とよばれ、その産出は古くから知られている。琥珀は久慈層群の種々の層準に含まれ、まれながら野田層群からも石炭に伴って産出する。多くの場合、石炭や炭物質に富む泥岩に伴って産する。現在では琥珀の採掘は行われていないが、玉川層中のものを稼行した跡がみられる。」
昭和30年代には、久慈における琥珀の採掘は、ほぼ廃滅状態にあったようです。
その後、昭和50年代に入り、地元の町おこしの努力の中で、東京から企業を誘致して、輸入琥珀の加工販売を始めたり、琥珀博物館をオープンしたり(博物館の経営母体は、もともとソ連と琥珀取引をしていた企業の関連会社だそうです)、さらに地元産の琥珀に愛着を持って、再び採掘を始める上山氏のような人が現れたりして、現在の「久慈といえば琥珀、琥珀といえば久慈」という観光ブランドが成立したという話。
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有名なバルト海沿岸の琥珀が、ざっと3千5百万年前の「新生代第三紀」に由来するのに対し、久慈の琥珀は、8千5百万年もの時を経た「中生代白亜紀」のものですから、その歴史と風格において、一段まさっています。
琥珀は他の化石と違い、透明で内部を覗き込めるところがいいですね。
光にかざせば、琥珀の内部にも光がいっぱいに満ちて、「この中に8千5百万年の時が封じ込められているのか…」と、容易に思いを馳せることができます。
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琥珀を見ると、すぐ琥珀色の液体に連想が飛び、さらには連想するだけで終わらず…
あまり褒められたことではないんですが、この人造琥珀液の中にも、一定の「時」が封じ込められており、いろいろ思いを馳せるには良い相手です。
あまり褒められたことではないんですが、この人造琥珀液の中にも、一定の「時」が封じ込められており、いろいろ思いを馳せるには良い相手です。
まあ、「琥珀を見ると琥珀色の液体を飲みたくなる」というのは嘘ではないですが、琥珀を見なくても飲みたくなるので、なんだかんだで中身はすぐ減ってしまいます。
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