カモメ飛ぶ港町の香り2016年03月10日 20時45分06秒

今日はカモメつながり、小芸術つながりです。


戦前の神戸製マッチラベル。
描かれているのは、まぎれもなく神戸の風景でしょう。
六甲の山並み、穏やかな海、汽船からたなびく煙、そしてカモメ。

潮の香と、遠い異国への夢が、画面から匂い立つようです。
そして実際、このマッチラベルはイギリスからの里帰り品なので、一度は「異人さん」のポケットに収まって、遠い異国の地を踏んだ品です。

   ★

マッチラベルの背景に、こんな本を置いてみました。


■成田一徹(切り絵・文)『神戸の残り香』
 神戸新聞総合出版センター、2006

今もあちこちに残る「古き良き神戸」の面影を、味わいのある切り絵と文章で綴った画文集です。作者の成田氏は1949年生まれで、まださほどのお歳ではなかったのですが、2012年に惜しくも急逝されました。


表紙絵のテーマは「海岸ビルヂング」。
明治44年に建った元貿易商館のたたずまいに、明治人の矜持を見た成田氏は、そこにご自分の空想をちょっとまぶして、作品としています。

 「絵の中の赤絨毯と誇らしげな足どりのソフト帽の男は、もちろん良き時代の神戸を夢想した僕のファンタジーだ。」

うーむ、実に洒落てますね。
こんなふうに、ついファンタジーをまぶしたくなるのが神戸であり、そして、まぶしがいのある町が神戸なのでしょう。

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