星の子どもたち2016年03月21日 17時51分55秒

穏やかな春分の日。
桜の開花宣言も出て、季節は春たけなわに向かいつつあります。

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さて、天文古玩におけるマイナー・アイテムというと、たとえば星座の切手。
しかも、こんな切手は間違いなくマイナーだと思います。


ウクライナの12星座切手(2008年発行)。

別に切手としてはマイナーではなくて、かわいい絵柄で一部では人気だと思うのですが、天文古玩趣味からすると、ぜんぜん「must have」ではないでしょう。
単に星座がモチーフという以上の接点はないし、そもそも理科趣味とはまるで関係がありません。…いや、多少はあるんでしょうか?いずれにしても、それも分からないぐらい、天文古玩趣味の中核からは遠いです。

しかし、古代から受け継がれた12星座が、その表現を変えながら、こうして今も重視されているという事実は、我々が文化の連続性の中に生きている証(あかし)であり、一見他愛ない星座占いにしても、一つの文化事象として見た場合、その見た目ほど他愛ないわけではありません。

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…と、無理やり理屈をこねるのはやめて、どうですか、この切手。
かわいくないですか?



かに座やうお座の着ぐるみもかわいいし、



やぎ座やふたご座のポーズもかわいいです。
そして極めつけにかわいいのは、


てんびん座と…


みずがめ座。
これは古代人もびっくりの図像表現。かわいすぎる。

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ここにあふれている「かわいさ」には、古代オリエント・ギリシャの神話以上に、現代日本のサンリオ的な「かわいい文化」が影響している可能性もあるんでしょうか。ちょっとそんな気がします。それとも、ウクライナは―いろいろゴタゴタしていますが―やっぱり子供にやさしい国なんでしょうか。

(背景は金属光沢のあるインクで刷られていて、印刷もきれいです。)