コレクターの夢2016年03月24日 20時47分55秒

何かとバタバタする時期ですが、記事の方はぽつぽつ書き継いでいきます。

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マイナーなものが続きましたが、では、天文古玩の中核的アイテムは何か?といえば、もちろん、星座早見であり、星図であり、天文古書であり、さらに天球儀や、オーラリーや、望遠鏡なんかも是非ほしいね…と、そんなところに話は収斂すると思います。

そして星座早見にしろ、星図にしろ、古書にしろ、それぞれがまた独自の蒐集領域を形成しているので、その中にまた中核的アイテムと周辺アイテムがあって…というふうに話は続きます。その複雑さゆえに、同じ趣味を有するコレクターであっても、互いのコレクションは独自の個性を獲得し、唯一無二のものとなり得るわけです。

そして、一層話が込み入ってくるのは、中核といい、周辺といっても、結局それは予算次第だということです。「100万円の予算で選ぶなら、これぞmust have」という品も、私を含め大方の人にとっては、周辺的な品とならざるを得ないでしょう。

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コレクターにとって、この蒐集と予算の関係は、古くて新しい永遠の課題です。
先日、あるコレクターの方と、この件でやりとりをする機会がありました。
その人はさらに別のコレクターとも議論したそうで、やっぱりみんなに共通するテーマなのでしょう。

コレクター氏曰く、

 お金と蒐集の関係については、最近他のコレクターとも意見を交わしました。まあ、本当のことは分かりませんが、もしあなたが無尽蔵にお金を持っていたとしても、あなたが得られる楽しみには、たぶん限りがあるんじゃないでしょうか。それにもちろん(お金がなくたって)とびきり素敵な品をいつかは購入できるかもしれませんしね。
 ここで私は祖母がいつも言っていた言葉を思い出さずにおれません。叶わぬ夢を持つことは良くないことかもしれない。でもね、何も夢が無いよりはましよ…。」

お金は無いより有る方がいいのかもしれませんが、有れば有るほどいいというような単純なものでもありませんし、お金がなくたって、コレクター氏のお祖母さんが言うように、人間には誰しも「夢」という大きな財産があるのです。

そして、コレクションにおいて、形あるモノと同じぐらい重要なのがイマジネーションであり、モノとお金の欠落は、豊かな夢と想像力で補うことができるはずだ…と思うのです。もっと言うと、形あるモノの背後に、夢と想像力を働かせてストーリーを紡ぐのがコレクターという存在であり、重要なのはむしろ後者のような気がします。

彼(コレクター)はモノを集めているように見えて、実は夢を集めているのだ…というのは、ちょっと極端な物言いかもしれませんが、でも過半真実だと思います。

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と言って、じゃあ夢だけあればいいのかというと、やっぱりそこには形あるモノもないとツマラナイわけで、この辺の複雑な心模様はなかなか一言では言い表せません。
―たぶん、夢はモノという触媒があることによって、いっそうよく花開くのでしょう。

(何だか書いているうちに論旨がぼやけてきましたが、そもそも「永遠の課題」なので、簡単に答は出ない気もします。)

コメント

_ S.U ― 2016年03月25日 20時12分57秒

コレクターの本質について考えてみますと、男の子はだれでも小学生時代は何らかのコレクターと言えるのではないでしょうか。女の子についてはわかりません。
 私は、タイルとか瓶の王冠とか古銭とかそういうものを集めていました。子供は、そういうジャラジャラする、金貨の山を得て大金持ち、という感じのコレクションにあこがれるものではないでしょうか。

 それで、私の場合はその手のコレクションは長ずるに従ってなくなっていき、現在ではほとんど消え失せました。お金はあるに超したことないですが、特に金貨ジャラジャラをやってみたいとも思いません。今からコレクションを再開してもたぶん老後の生活の足を引っ張るだけになるでしょう。

 なぜ歳を取るとやめてしまう人と歳を取っても続けられる人があるのか。これはモノへの執着の強さで決まるのでしょうか。私は、モノへの執着は弱くなりましたが、リクツへの執着はかえって強くなったように思います。これはこれでたぶん人に迷惑をかけていると思います。(理屈中毒ですね)

_ 玉青 ― 2016年03月26日 08時21分05秒

>理屈中毒

あはは。一種の「職業病」でしょうかね。
S.Uさんのご同業の方は、皆さんいかがでしょうか。

まあ、理屈も中毒症状を呈するまでになると、ご本人も辛くなってきたりしますから、どこぞのオッサンのように、ときには理屈を放擲して馬鹿話に興ずるのも、精神の安寧には必要かもしれませんね。(笑)

「まあ、まあ、ええやないか。中村君、君はええ男やな。ほれ、どこかイギリスの飛行士に似てるな、姐ちゃん泣かせてるのとちゃうか。(笑)そう堅いことばかり言うなよ、わざわざ東京からやって来やはったんやからな。さ、どんどん聞いてくださいよ。はい、なんですか、松岡君。君は浪人に似とるな。(笑)」
http://mononoke.asablo.jp/blog/2011/07/31/5999860

_ S.U ― 2016年03月26日 15時58分31秒

>一種の「職業病」
 どうでしょうか。物理実験屋に理屈好きの人が多いかどうかはわかりませんが、その中にあって私が他人に迷惑をかけているのは事実だと思いますので自戒したいと存じます。業界には私以上の人もチラホラ見受けられますので、自戒のネタには事欠きません。

>どこぞのオッサン
 ははは、このオッサンも自作の中では常人がついて行けないほどの相当の理屈をこねていましたね。なかなか難しいものだと思います。私も歳を取ってからリクツを吹っ切れるよう修養に励みたいと思います。適切なご忠言ありがとうございます。
 玉青さんにおかれましても、モノ中毒にリクツ中毒を併発されませんよう老婆心ながらお見舞い申し上げます。

_ 玉青 ― 2016年03月27日 08時14分07秒

(…と、ここに異相の男飄然と現われて曰く)

まあ、まあS.Uさん、ええやないか。理屈かてこねたいときもあるやろ。こねたいときは、こねるだけこねたらええんや。所詮、理屈も馬鹿話も、姐ちゃんが泣くか笑うかの違いだけや。どや、ちゃうか。さあ、そう堅いことばかり言わんと、どんどん呑みなさい。

(これを聞きてS.U氏、「さても憎らしき章魚坊主かな」と盃を取りて挑みかかれど、男の鯨飲ぶりは常識の埒外にて、さしものS.U氏もついには卓袱台に打ち伏しぬ…) (^J^)

_ S.U ― 2016年03月28日 07時08分35秒

章魚坊主先生にそうおっしゃられたら、もうどうしようもありませんな。

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