一年は春とともに ― 2016年03月26日 07時57分11秒
天文学史のメーリングリストで「Lady Day」の話題が流れてきました。
「Lady Day」とは何だろうと思って調べたら、昨日3月25日は、天使ガブリエルが聖母マリアに受胎告知をした「お告げの祝日(Annunciation Day)」に当り、これを英語圏では「Lady Day」とも称するのだそうです。
イギリスでは、この日が中世以来「1年の始まり」で、1月1日が年初と宣言された1752年まで、その慣行は続いた…と、Wikipediaは教えてくれます。
(レオナルド・ダ・ヴィンチ『受胎告知』。Wikipedia 「Lady Day」の項より)
さらにまた、現在もイギリスで会計年度が4月に始まるのは、その名残であり、旧英領のインドや香港、南アフリカなどでも同様ということも知りました。
イスラム圏のイランでも、会計年度は春分の日に始まるそうですし、たいてい4月中に祝われる復活祭(今年は西方教会では3月27日、東方教会は5月1日だそうです)の祝祭ムードも相まって、春の訪れと共に1年が始まるという感覚は、日本だけでなく世界のあちこちにあるようです。
気分一新の時期。
日々いろいろなことがありますが、心に風を通わせて、新たな一歩を踏み出したいです。
日々いろいろなことがありますが、心に風を通わせて、新たな一歩を踏み出したいです。
春の星座早見 ― 2016年03月26日 08時06分09秒
(本日は連投です)
一昨日登場したコレクター氏とは、彼から星座早見盤を購入したことがきっかけで、やりとりが始まりました。
やりとりの中で、スイスにある彼の部屋の写真も見せてもらい、ぜひこのブログでご紹介したかったのですが、「それはちょっと…」とご本人が辞退されたので控えます。
でも、どうか想像してみてください。温もりのある白木の内装の部屋に、古書が並び、アンティーク望遠鏡が並び、天球儀やテルリアンや星座早見が置かれ、ところどころスポットが当たっている、いかにも居心地の良さそうな素敵な部屋を。
天文古玩的には、まさに理想の部屋と言っていいです。
★
さて、その部屋にかつて置かれていた早見盤がこちらです。
(全体の差し渡しは約30cm、星図盤のみだと直径約28cm)
青い星図盤と若草色の地平盤の対比が美しく、いかにも春にふさしい感じです。
おそらく1920~30年代、にドイツのMang社から出たもので、同社の星座早見は、古いバージョンだと黒い星図盤に臙脂色の地平盤で、それはそれで渋い魅力がありますけれど、この新バージョンの軽やかなカラーリングも捨てがたいです。
おそらく1920~30年代、にドイツのMang社から出たもので、同社の星座早見は、古いバージョンだと黒い星図盤に臙脂色の地平盤で、それはそれで渋い魅力がありますけれど、この新バージョンの軽やかなカラーリングも捨てがたいです。
北極星を探す目当てとなる、おおぐま座とこぐま座は赤く彩色されています。
また、よく目をこらすと、かすかに星座絵も施されています。
また、よく目をこらすと、かすかに星座絵も施されています。
裏面は説明がびっしり。
この早見盤の大きな特徴は、金と銀の小円が、目盛りを刻んだバーに沿って動かせるようになっていることです。
ドイツ語があれなのですが、金は太陽、銀は月を表わすマーカーのようです。
その日の南中高度と出没時刻が分かれば、それを元に両者の位置をセットすることができ、それによって太陽・月・星座の位置関係も分かるし、地平盤を回せば、その日周運動もシミュレートできる仕組みです。(理科年表の類を参照すれば、もちろん惑星の動きにも応用できます。)
ドイツ語の壁で調べが行き届きませんが、下に挙げたページを参照すると、マング社は Adolf Mang (1849-1933) が、独・シュトゥットガルトで始めた天文・地理教具メーカーで、星座早見以外にも天球儀・地球儀、テルリアンなどを販売していました。世紀の変わり目をまたぐ1895~1920年頃が盛業期で、1933年にアドルフの死とともに活動を終えたようです。
■Auctionata
https://auctionata.com/o/56308/adolph-mang-didactical-armillary-sphere-stuttgart-c-190010
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