タルホ的なるもの…ステッドラーの鉛筆(3)2016年05月07日 08時28分26秒



ステッドラーの鉛筆を探しているときに、こんなものを見つけました。


ご覧のとおり、普通の鉛筆削りですが、これぞ生粋のバヴァリア生まれ。
そもそも「バヴァリア」とは何かといえば、南ドイツの「バイエルン州」のことで、バヴァリアは、その古称に由来する英語名です。

(第1次大戦後にロンドンで出た地図帳より。東はチェコ、南はオーストリアに接するのがバヴァリア地方。)

バイエルンも、もちろんドイツの一部には違いありませんが、ドイツの他地域と比べてカトリック信者が多く、昔から自主独立の気風が強い土地と聞きました(プロイセンを盟主とするドイツよりも、歴史的には、オーストリアに親和性が高かったようです)。

なお、1つ上の写真で、バヴァリアの上に見える「D.R.G.M」というのは、「Deutsches Reiches Gebrauchs Musterschutz」の略で、「ドイツ帝国意匠登録済み」の意。


この鉛筆削りは、もちろんステッドラーのオリジナルです。
引き絞った三日月と、妙に指の長い手に、一寸妖しい気配があります。

空気が澄みきった夜明け前、この道具でカリカリと菫色のコッピー鉛筆を削れば、辺りに涼しげな針葉樹の匂いと、甘いリラの香りが漂い、そのまま銀色の月世界にだって行けそうな気がすることでしょう。