京都へ(2)…Lagado研究所のこと2016年05月19日 20時40分31秒

京都に行けば、どうしてもLagado研究所に行きたくなります。
そして店主の淡嶋さんの顔を見れば、心底ホッとします。

Lagado研究所には、いつだって不思議なものがあふれています。
ひしめく天球儀や地球儀。ひび割れた古いボール。
昭和なカップアイスの容器。草木の種子。毀れた小像。

民芸関係の人は、機能美や「用の美」ということを盛んに言いますが、ここにあるのは「モノから機能が消えてゆく過程の美しさ」であり、いわば「無用の美」です。

淡嶋さんは、そうした世界の断片を研究所の棚に並べ、その由来を問われれば、一つひとついかにも嬉しそうに話して聞かせてくれます。でも、そこには私が上で述べたような小理屈がさしはさまる余地はなく、やっぱりこの店でいちばん不思議な存在は、淡嶋さん自身だなあ…と、いつも思います。

自己が確立している。 と同時に無私である。
これはなかなか達しがたい境地で、淡嶋さんの周囲に、自然と人が集まる理由もよく分かります。

先日の訪問の際も、思わぬ先客がいました。
スチームパンカーを名乗るRudgerさんで、Lagado研究所では、すっかり馴染み客のようでした。世俗の物差しでいえば、彼はまだ中学生の少年なのですが、その豊かな好奇心とエネルギーは、本当に羨ましいと思いました。

Rudgerさんは、これからスチームパンクという窓を通して、あるいは更にそれを超えて、この世界の不思議を我が物とされていくのでしょう。ぜひその旅路が平安で、豊かな発見を伴うものでありますように…。

   ★

この日は、淡嶋さんの本業であるゲストハウス(淡嶋さんが京都で旅客相手の宿を始められたのは、Lagado研究所をオープンされる前のことです)に初めて泊めていただきました。

素泊まりいくらという、気のおけない宿ですが、その玄関に入った瞬間からこう↓ですから、何というか、こちらもLagado的な息吹には事欠きません。

(ゲストハウス・トンボ http://ton-bo.boo.jp/

この巨大な星座早見盤は、おそらく昭和30年代、小学校の理科の授業で使われたらしい大珍品で、私自身も物欲がうずきましたが、でもこれはここにこうしてあるから良いのでしょう。


宿の中もこんな具合です。
ここは間違いなく天球儀と地球儀が日本一多い宿屋だと思います。
(下段に並んでいる建築模型は、以前宿泊した(たしか)フランスの人が作って置き土産にしたものだとか。)

   ★


この日の夜は、以前から行きたかった島津の旧本社ビル、現在の「フォーチュンガーデン京都」に行き、食事を済ませました。


食事の友はブルームーン。

   ★

(左下の地図は、左が北に描かれています)

淡嶋さんのゲストハウスは、出町柳の駅近く、ちょうど鴨川と高野川が合流する、いわゆる「鴨川デルタ」のそばにあります。


翌朝散歩した川べりの景色は、まさに山紫水明。


鴨川の鴨。
…と言いたいところですが、この鴨は高野川の方に憩っていました。

   ★

この日は月曜日なので、博物館や美術館は軒並み休みで、どこに足を向けるか思案に暮れましたが、せっかくの機会なので、これまで行ったことのない場所を訪ねることにしました。

(この項つづく)

コメント

_ うり ― 2016年05月19日 22時08分57秒

こんばんは。Rudger氏に会われたのですね!
私も、ブログを通じて彼と少しお話をしたことがあり、
彼の豊かな感性が好きで、ツイッターもフォローさせていただいています。

彼の趣味は周りの方たちに理解されず、
ずっと孤独を感じていたそうですが、
五十嵐麻里さんや淡島さんなど、素敵な先達たちに出会い、
今は生き生きと、ご自分の「好き」を追いかけているようです。
私も思春期に、彼と同じ孤独を感じたことがありますので、
Rudger氏が素敵な先達に出会えてよかった!と思いますし、
そして、この記事の中の玉青さんの、Rudger氏に対する
あたたかいまなざしに、
「やっぱり、『自分の好き』を大事にしている大人って、素敵だ!」
と思いました。

玉青さんは、大人のまなざしを持ちながら、子供のころの気持ちも決して忘れない、素敵な方だな!と思います。

_ 玉青 ― 2016年05月20日 21時12分12秒

人との出会いは大切ですよね。
こればかりは偶然も作用するし、でもそこが面白いところでもあるように思います。
Rudgerさんの場合は、とても良い出会いがあって何よりでした。

これからも「好き」を大切に、ご自分の世界を広げ&深めていただけたらいいな…と、これは私が言わなくても、たぶんRudgerさんはそうされるでしょうけれど、ちょっと眩しいような気持ちで、そう思いました。「好き」を大切にすることは、何より自分を大切にすることでもありますからね。

(そしてうりさんもぜひ! もちろん、私もそうするつもりです。)

_ Rudger ― 2016年05月21日 21時40分52秒

只今記事を拝見しました!遅くなって申し訳ありません。
ご紹介して頂いて、ありがとうございます。とても嬉しく思っています。
毎日ふと蒐集に思いを巡らすことがあります。例えば学校の理科室に置いてある錆びれた実験器具。それを手に入れることが出来たら、とついつい黒板の文字をノートに写しながら考えてしまいます。その時、「あ。やはり自分は蒐集に支配されているんだなー」と思います。
この「天文古玩」のことや玉青さんのこと、蒐集のことを記事にしよう!と1週間が過ぎて、ようやく今日書けたのでブログで公開しようと思います。
これからも「天文古玩」の更新、美しいモノの数々を拝見するのを楽しみにしております。夜分に失礼しました。

_ 玉青 ― 2016年05月22日 11時49分03秒

人の出会いは偶然で面白い…と、一つ前のうりさんのコメントへのお返事に書きましたが、あの日、あの場でRudgerさんとお会いしたのも、まさにそんな感じでしたね。淡嶋さんも交えての愉しいひとときをありがとうございました。
蒐集の「旅」もなかなか山あり谷ありですが、Rudgerさんの旅の光景がどんなものとなるのか、そしてまたブログの記事も楽しみにしています。

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